遺伝子組換え企業が世界食糧サミットの唯一の勝利者
ザ・ガーデイアン(英)
02年6月14日(金)ローマ発
ロリー・キャロル記者
訳 河田昌東
世界食糧サミットは、非難の擦り合いの末、昨日終わった。アメリカ以外は、皆が時間の無駄だったと言っている。アメリカは遺伝子組換え作物を飢餓の解決のために売ることに成功した。このイベントが西側諸国の政府によって鼻であしらわれ、発展途上国のリーダー達との間に貧栄養と飢餓の解決の戦略に関する合意は得られなかったが、国連はイタリアの首都におけるこの作業が無駄だったということを否定した。
会議で環境・農業グループはアメリカがワシントンでの強引なロビー活動のあと同サミットでバイテク農産物の認証をするようにごり押ししたことを非難した。 「アメリカは非常にハードに振る舞い、成功した。彼らは今や遺伝子組換え作物を援助目的に使う倫理的権限を得た」というのはオックスファムのフェルナンド・アルマンダである。彼はこの敗北がGM食糧反対派にショックを与え、8月にヨハネスブルグで開かれる持続可能な開発のためのサミットに結集させることになれば良いと願っている。
農務長官アン・ベネマンがリーダーのアメリカ代表団は、議題の優先順位がアメリカの企業が支配するバイオテクノロジー利用の拡大促進にあると言ってはばからなかった。
「バイオテクノロジーは飢餓の続く世界中の地域に適した農産物を大量に生産する潜在力を持つ。安全問題なんか何処にも無い」とベネマンは言う。 他の代表団員はもっと率直で、「我々はバイテクを売りにここに来た、我々がやったことはそれが全てだ」といった。
GMの賛同者たちはGM作物が収量を改善し、旱魃や塩害に耐性を持たせ、厳しい地域での食糧不足を緩和する、と主張する。しかし、批判者らはGMが生物の多様性を破壊し、零細農民をアメリカの企業から種子を買わなければならないように仕向ける、という。ジンバブエの非政府組織のエコロジー活動家フレッド・カリバニが言うには、特許のついたGM種子は食糧安全保障を少数の企業の手にゆだねてしまう。 「これは今後数年間にアフリカに悲劇をもたらすだろう」と彼は言う。
このサミット主催した国連の農業食糧機関の事務局長であるジャック・デイオフは、この会議は成功だった、なぜなら2015年までに世界の飢餓を半減させるという1996年の食糧サミットの約束が再確認されたからだ、という。しかし、過去6年間にほとんど進展は無く、8億人の人々が未だに飢餓状態にあり、南アフリカにも旱魃は迫っていて、毎年160億ポンドの余分な資金が無駄になっている。 サミットには181カ国の代表が参加し、国や政府のトップが74人も居たが、そのうち西側のトップはたった二人だけだった。 南アフリカのサボ・ムベキ大統領は西側の無関心を非難した。イギリスの国際開発担当大臣、クレア・ショートはこのサミットは時間の無駄だった、と言った。そして、EUの援助委員のポール・ニールセンは、飢餓の本当の問題に立ち向かうよりは、自分たちの勢力拡張を図ろうとしたとして組織委員会を非難した。他の代表団は彼らが西側のリーダー達に西側の関税が自国の貧農達に与えているダメージについて訴えることが出来なかったことに不満をあらわにした。ある国連の担当者は、この会議の160万ポンドの費用は貧困救済の穀物に使われたほうが良かった、と言った。