緊急ニュース

GM遺伝子が人の腸内細菌に移行を確認

 

ザ・ガーディアン ジョン・ビダル

02717

訳 山田勝巳

 

 イギリスの研究者が、組み換え作物のDNAが人間の腸内細菌に入り込んでいるのを始めて示し、健康危害について重大な疑問を投げかけている。 ほとんどのGM食品は、健康問題を起こしてはいないが、この論争の多い作物は抗生物質マーカー遺伝子が開発の初期段階で組み込まれている。

 

もし、ニューカッスル大学の実験が示唆するように、このマーカー遺伝子の遺伝物質が人間の腸内に居場所が出来るとすれば、広く使われている抗生物質に対する人間の抵抗力がなくなる。 食品基準局に依頼されたこの研究は、世界初の人間ボランティアに対するGM食品の人体実験である。 当局は「些細なこと」としているが、地球の友は「ダイナマイト」と表現している。

 

 研究者は、大腸切除を行い、結腸瘻バッグを持つ7名のボランティアにGM大豆入りのバーガーとミルクシェークの食事を一食与え、彼らの大便を12名の正常な腹部を持つ人達の大便と比較した。 研究者は、「組み換えDNAの比較的大きな部分が小腸を通過することにびっくりした」と発見を述べている。 正常な腸を持つ人からは全く発見されなかった。

さらに、GM DNAがバクテリアによって腸に運ばれるかどうかを見るために、結腸瘻バッグ内の大便からバクテリアを取り出し培養してみた。 7サンプル中3サンプルのバクテリアがGM食品からの除草剤耐性遺伝子を非常に低いレベルで取り込んだのを確認した。 「組み換え遺伝子は小腸を通過して生き残ってはいたものの大腸では完全に衰退しているようだ。」と報告に追記されている。 

 

ロンドンのキングス医科大学の分子遺伝学マイケル・アントニオウ上級講師は、昨夜この研究は、「私の知る限り、彼らはGM植物のDNAが腸内細菌に入り込むことをはっきり示している。これまで、この可能性は全ての人が否定してきたもので重要だ」と言う。 又「実験には不適切な面も多々見られるものの、肝心な点の重要性は変わらない。この結果は、抗生物質マーカー遺伝子が腸内に拡がり抗生物質への抵抗力がなくなることを示唆している。それもたった一食という低レベルでも起こりうることを示している。」と話す。

 

マーカー遺伝子はGMの細胞や組織を認識するために開発中にGM植物に挿入される。

 

上院は早急にこれを無くすよう求めた。

 

地球の友は、昨夜、GM作物にこのマーカー遺伝子を使うのを即座に止めるよう要求した。「 業界、研究者、政府顧問はこれまでずっとこういう問題が起こる危険性などないと言ってきたが、今たった一回の確認を行っただけで危険のあることを発見した。」とGM食品キャンペーン担当のアドリアン・ベブは言う。

 

この研究は、「 人間のボランティアを使った現実の状況で、GM物質が消化器を生き延びたものはないことを示しており、又結論では、機能するDNAが人や動物の腸内でバクテリアに取り込まれるという可能性は極めて低いとしている。」とFSAは、話している。

http://www.guardian.co.uk/GMdebate/Story/0,2763,756666,00.html

 

注:河田昌東

組換え遺伝子が水平伝達によって、腸内細菌に入りこみ、除草剤耐性や抗生物質耐性を獲得する可能性は早くから我々も指摘していたことである。今回の研究はまだ詳細が不明だが、事実とすれば最初の発見である。この研究の重要なポイントは、たった一回の摂取で組換え遺伝子が胃腸を通過し、結腸まで到達したこと、腸内細菌に組み込まれたこと、の2点である。何れもこれまでの安全審査では、人工腸液などの消化実験で可能性がない、と断定されてきた。

遺伝子組換え作物とその製品は今回の実験よりも遥かに大量に日常的に摂取されており、一般人の体内で除草剤耐性やBt遺伝子、抗生物質耐性遺伝子をもつ細菌が繁殖している可能性が出てきた。アメリカにおける抗生物質耐性菌の蔓延は、一般には畜産における抗生物質の多用と関連つけられて議論されているが、この問題との関連を早急に調査すべきである。

 

 

戻るTOPへ