遺伝子組み換え表示賛成派がオレゴンで歴史的一歩を刻む
有機消費者協会 ニュースレター
2002年7月10日
ジェフ・ペックマン
訳 中田みち
7月5日、オレゴンの遺伝子組み換え反対活動家らは、Secretary of State(州総務長官)に対し、遺伝子組み換え表示の発議を有権者の投票にかけることを求める101,256筆の署名を提出し、歴史的な一歩を刻んだ。このような快挙を成し遂げたのは彼らが初めてとなる。ダナ・ハリスを始めとする運動のリーダーや請願者の主な人々はオレゴン中の各都市から集まった。エメラルド・ヴァレー・キッチンを経営するメル・バンコフは、この活動に対する金銭的な援助をしただけではなく、彼自身妻と一緒に運動期間中、署名を集めて回った。
子供達が行進を先導
「本当にすばらしい日でした。」とリーダーの一人であるダナ・ハリスは語る。「全てが美しく行われました。スピーチをした人々もよかったし、子供達が参加できたことがすばらしかった。実際に子供達と一緒に歩いて、署名を提出したのがその日のハイライトでした。行列を先導したのは、3歳になるミシェル・バンコフ。彼女は1000筆あまりの署名をのせた赤い小さな手押し車を押し、それに続いたのが私の姪のケイティ・パイランドでした。彼女はおよそ50,000筆の署名をのせたワゴンを引っ張り、その後さらに50,000筆の署名をのせたワゴンをマーリー・バンコフが引きました。そして私の甥のジミーがワゴンを押しました。彼ら子供達が、人々の歓声の中、私達を先導して州総務長官の執務室に入っていったのです。本当にすばらしい瞬間でした。」
メディアも注目
取材には二つのテレビ局(チャンネル2とチャンネル8)が訪れ、OPBラジオは幅広いインタビューを行った。また、新聞はザ・オレゴニアン、ステーツマン・ジャーナル、ポートランド・トリビューン、アソシエーテッド・プレスが訪れ、ユージーン・レジスター・ガードも記事に取り上げた。
早くも反対派が現れる
遺伝子組み換え表示の発議に反対する勢力も今回の署名提出の場にかけつけ、この発議をくつがえす運動を行うことを宣言した。今回の発議はまだ投票に掛けられることが認められたわけではない。その段階での彼らの異例の動きは、この発議がこの先の彼らにとっての利害に深く関わっていることを示している。この発議に反対を表明している食品業界最大の圧力団体であるGrocery manufacturers of America(アメリカ食品製造者協会)は、遺伝子組み換え表示の義務化を考えている州に対して、その州内での商業活動の中止をちらつかせて脅迫すると言われている。オレゴンの有権者は、これまで多くの州の立法者達が屈服してきたその脅迫を受けて立つ初めてのケースになるかもしれない。
オレゴンでの食品取引はストップするか?
反対派は、表示の義務化によってオレゴン州の食品取引は混乱すると主張する。表示賛成派のケイト・ロードは6月25日付けのステーツマン・ジャーナル紙の記事で、この主張に反論した。彼女は指摘する。「オレゴンの独立した気質は、過去にもこのような脅迫を打破したことがあります。たとえば1971年に、ビンを再使用可能なものにし、最低限の払い戻し価格を含むことを求めるオレゴンビン法案が法制化される際、コカコーラ社はオレゴン州内で商品を売らないと脅迫しましたが、結局その法律の成立を覆すことはできませんでした。」また7月6日付けのステーツマン・ジャーナル紙の記事では、この発議に賛成しているドーン・バルザーノが「クラフト社はヨーロッパでは遺伝子組み換え食品を表示する部門を持っている。そこで表示をつけられるのは、北アメリカの消費者向けに作られているのと同じ製品なのだ。」と述べている。
これからどうなる?
オレゴン州総務長官 は、8月4日までに少なくとも66,786筆の署名が有効であるかどうか、確認しなくてはならない。もしそれらが有効なら、2002年11月の投票に向けて有権者教育がスタート、おもしろいことが始まるだろう。