遺伝子組み換え作物への懸念、農民の間で広がる

 

出所:The Age(オーストラリア)

日付:2003年4月9日(水)

訳 鴨下顕彦

 

遺伝子組換えカノーラを出すなという反対が拡がり、農家の態度をきちんと調査投票せよという呼びかけが起きている。ビクトリア州の200戸の農家で行われた調査では、GMカノーラの間近な放出と、従来の作物への影響について大変心配されている。しかし、政府組織であるバイオテクノロジー・オーストラリアは、その調査自体に重大な問題があるとしている。遺伝子技術統制官、Sue Meek氏によると、除草剤抵抗性の遺伝子組換えカノーラは健康や環境に危害を及ぼさない。彼女が来月にもGMカノーラを正式に認可すると、それはオーストラリアで最初の遺伝子組み換え食用作物となる。しかし、Wimmeraのカノーラ栽培者である、「懸念する農家ネットワーク」のGeoff Carracher氏は、ビクトリア州の栽培者の調査では多くがGM作物に反対だと言った。調査農家の75%はGMカノーラの商業的放出を懸念しており、67%は市場で売れるかどうかを心配し、80%がGMと非GMカノーラの共存を恐れている。Carracher氏によると、調査結果はビクトリア州がカノーラの子実の放出を禁止することの正当な理由になる。“ビクトリア州がGMカノーラの放出を猶予している根拠がここにあります”と。調査では、52%の回答者がGMカノーラを栽培するかどうかを決めるための情報は十分に得ていると考えている。80%が農家圃場での交雑による種子汚染の問題を懸念しており、72%が負債の問題を心配している。しかしバイオテクノロジー・オーストラリアの広報管理者のCraig Cormick氏は農家のGM作物に対する態度に関する調査ばかりで、農家が新しい技術を積極的に利用しようという調査がない、と言った。彼によると、本当に農家のGM作物に対する態度を発見するには、無作為の国民投票が必要である。“多くの人々がGM作物とオーストラリアの農家が栽培するかどうかを決定することについて意見を持っています。しかし実際に農家のGM作物に対する態度を知っている者はほとんどいないのです。更に複雑なことには、反GMグループは農家がGM作物に強く反対しているイメージを作り、好GMグループは農家がGM作物を支持しているイメージを作っているのです”と。

 

 

戻るTOPへ