GM作物は自己崩壊する?

ジョー・カミンズ

The Institute of Science in Society
PO Box 32097, London NW1 OXR
 http://www.i-sis.org/

 

訳 山田勝己

 

GM作物は遺伝子崩壊(メルトダウン)するのでは?

全てのGM作物は不安定だ。 更に悪いことに、加速するエラー・カタストロフィーのために全面的遺伝子崩壊に直面する可能性がある。ジョー・カミンズ教授が、どうしてこれが起こるのか最近の研究成果から検証する。

 

「エラー・カタストロフィー」又は、「絶滅突然変異誘発」は、突然変異と生物群の生存に関する理論である。 これは、突然変異が変種を生み、変種が環境の変化に対して群を生存に導くという考えだ。 しかし、生物にとって殆どの突然変異は有害である。 エラー・カタストロフィーというのは、突然変異が頻繁に起こるようになると発生するもので、有害な突然変異が多くなりすぎて群を絶滅まで追い込む。 例えば、突然変異誘発剤(フルオロウラシルとアザシチジンの類似塩基)で処理した口蹄疫ウイルスは、最終的には絶滅に至る(1)。 突然変異誘発剤リバビリンで処置された小児麻痺ウイルスは、同様に絶滅している(2)。 エラー・キャタストロフィー理論は、病原性ウイルスを押さえ込むための突然変異誘発剤戦略を生み出した。

 

体細胞クローン変異は、GM植物を作る際の組織培養や胚培養から生じる、遺伝子と染色体の不安定な状態である。これは遺伝子組み換えでなくても生じる(3)が、遺伝子組換えは更に状態を悪化させる。 体細胞クローン変異は、植物細胞の核の中で複製し、構造遺伝子に入りこんで突然変異と染色体の再配列を起こす、レトロトランスポゾンという遺伝的エレメントの複製にかかわる現象である(4)。 遺伝子組換えで活性化された遺伝子の変異は数多くしかも微妙である。 そして、徐々にGM品種の生産性が落ちたり、予想しなかった植物毒を生成する可能性もある。  トランスポゾンは遺伝的 安定性に大きな影響力を持つ。 例を挙げれば、果物につくショウジョウバエのPトランスポゾンは、適当な条件で活性化されると「ハイブリッド(雑種)発育不全」と呼ばれる、トランスポゾンを受け取ったゲノムが染色体と遺伝子の突然変異のために、徐々に壊れていくゲノム破壊を起こす(5)。 グラッセル(6)は活性の強いトランスポゾンを雑草に組み込み、雑草を根絶やしに出来る可能性があると言っている。 

 

現在GM作物は全て胚培養で作られているが、どのようなトランスポゾンの転移が起きているかは十分に研究されていない。 体細胞クローン変異は、遺伝的変種を作出する方法として、いくつかの作物で特許になっているが、それは確立された組換え体は安定だという前提に立っている。 しかし、殆どの場合この想定は確認されてはいない。実際、植物の胚培養で起こる休眠状態のトランスポゾンの再活性化の要因については不充分な研究しか行われていない。 絶滅突然変異誘発の脅威は、実験的GM作物の規制緩和を決めた政府の検討会では一度も議論されて居らず、またGM作物の微妙な収量減少を起こした原因を調査しようともしていない。 GM作物の収量が激減し絶滅するのも時間の問題かも知れない。 最後に、GM作物のレトロトランスポゾンが人や家畜の体内で暴れ回り、人のゲノムにもたらす大惨事については殆ど考えが及んでいないようだ。

 

文献

1.. Sierra S, Davila M, Lowenstein P and Domingo E. 口蹄疫ウイルスの突然変異増加に対する反応: 感染力喪失時のウイルスの負荷と適応性の影響(J Virology, 2000,74,8316-23)

2.. Crotty S, Cameron C and Andino R. RNAウイルスのエラー・カタストロフィー:リバビリンを使った直接的試験(Proc. Natnl.Acad.Sci USA, 2001,98,6895-6900.)

3.. Labra M, Savini C, Bracale M, Pelucchi N, Columbo L, Bardini M and Sala F. アグロバクテリウムを感染させたカルスが作る遺伝子組換えイネのゲノム2001 Plant Cell Reports 2001, On line reports DOI10.1007/s002990100329)

4.. Agrawal G, Yamazaki M, Kobayashi M, Hirochika R, Miyao A and HirochikaH.

内在性レトロトランスポゾンによるイネの胎生突然変異のスクリーニング:ゼアンチン・エポキシダーゼ4遺伝子と新たな遺伝子OsTATCへのTos17トランスポゾン挿入(Plant Physiology, 2001, 125, 1248-57.)

5.. Kidwell MG, Kidwell JF, and Sved JA. ショウジョウバエのハイブリッド発育不全。突然変異、不妊、雄性組換えによる異常形質シンドローム 

Genetics, 1977,86:813-33.)

6.. Gressel ,J 「分子生物学と雑草管理」(2000 Transgenic Res 9,355-82)

 

キーワード:

   遺伝的不安定性Genetic instability,

   組み換え不安定性transgenic instability,

体細胞クローン変異somaclonal variations,

トランスポゾンtransposons,

エラー・キャタストロフィーerror catastrophe.

 

詳しい内容はカミンズ教授にご連絡下さい。e-mail: jcummins@uwo.ca

 

 

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