J.Agric.Food Chem. 2005,53.9023-9030

 

インゲン豆α−アミラーゼ・インヒビターの遺伝子は

エンドウ豆への組換え体における発現では構造と免疫原性に変化をもたらす

 

VANESSA E. PRESCOTT,  PETER M. CAMPBELL,  ANDREW MOORE,  JOERG MATTES,  MARC E. ROTHENBERG,  PAUL S. FOSTER,  T. J. V. HIGGINS,  AND SIMON P. HOGAN

 

オーストラリア国立大学ジョンカーティン医学研究所分子生物学(オーストラリア、ACT、キャンベラ)、シンシナティ医大シンシナティ子供病院医学センター(オハイオ州シンシナティ)、科学産業研究機構 昆虫学・植物産業局(オーストラリア、ACT、キャンベラ)

 

訳 福麻

 

 最近の遺伝子技術の発展をもってすれば、本来の宿主でないもので組み換えタンパク質を発現させることができる。翻訳時修飾や翻訳後修飾の経路は種によって多様なので、発現したタンパク質の分子構造、ひいては細胞の機能や抗原性も、種によっておそらく違った変化をもたらすであろう。我々はこの報告で、植物タンパク質の組換え体における発現(本来の宿主でない組換え体エンドウ豆(Pisum sativum L.)で、インゲン豆品種テンダーグリーン(Phaseolus vulgaris L. cv. Tendergreen)由来のα−アミラーゼ・インヒビター−1を発現させた)によって、このインヒビターの構造が変化したものが合成されたことを示す。我々は、マウスの炎症モデルを用い、改変型α-A1(訳注:組換え体で合成されたもの)を摂取すると、抗原特異的なCD4Th型の炎症を起こす傾向があるが、天然型(訳注:本来のインゲン豆で合成されたα-A1)摂取ではそうならないことを証明した。さらに、この変異型α-A1を他の異種タンパク質と同時に摂取すると、免疫学的交叉感作が起こり、これら異種タンパク質に特異的な免疫反応が誘発された。このように、植物の組換え体における非天然タンパク質の発現では、抗原性が変化した構造変異体が合成されるおそれがある。

 

 

 

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