GMコーンのカビで家畜が不妊症に?かびたバイテクコーンを心配する農家
エミリィ・ガーセマ AP記者
2002年10月9日
訳 山田勝巳
ワシントン:中西部の農家と環境団体は、農務長官アン・べネマンに対し食品を汚染しかねない毒性カビが疑われるバイテクコーンを差し押さえるよう求めている。中西部の州で豚や牛に不妊が出ている原因を検査して確認するまで市場から排除する事を望んでいる。 農務省研究者は、アイオワの牛と豚がカビ臭いコーンを食べてから不妊になったのではと考えている。 環境団体地球の友はベネマンにコーンを差し押さえるよう求める書簡を送った。
ガースト種子社が生産したコーンで問題を経験しているミネソタ、ミシガンとアイオワの多くの農民は、公には話したがらず、「自分達のコーンが、市場価値が無くなるのを恐れている感じだ。」とラリー・ボーレム地球の友広報担当は話す。 農務省と食品医薬品局を含む穀物管理に責任のある役所は、迅速に対応しなかった。このコーンがタコスやトルティーヤチップスに入ってしまうのではとボーレムは心配している。 そうなるとスターリンクの二の舞になってしまう。 回収には農業業界に何十億ドルも掛かってしまう。 農務省広報官マリア・バイナムは、カビの疑われるコーンの調査はFDAの責任だという。 FDAは、現在調査中と発表。
このコーンはBTコーンで、カビが出ないように遺伝子設計されている。 初期の検査では、動物や人の体調を悪くするフザリウム菌が検出されている。 農務省農業調査サービスの研究者は、この問題は生化学合成剤によって起こったのではないかと考えていると言う。 アイオワ州のハーランでローリング・R・農場を経営するジェリー・ロスマンは、2000年10月から2001年8月の間に豚の繁殖率が90%から20%に落ちたのはコーンが原因だと考えている。 雌豚は妊娠したかのようだったが子豚は一匹も産まれなかった。 ロスマンは、この群を処理したが、近所の4軒でも似たような問題があったのを知って農務省に通告した。 共通していたのはコーンだったとロスマンは言う。
昨年の秋、科学者がロスマンのコーンを検査し始めたが、彼と父親の間で農場の経営について法廷闘争があったため中止せざるを得なかった。 闘争を処理するためにアイオワ州・シェルビィ郡の裁判官は、コーンを売って家畜を競売に出すよう命令したとロスマンは話す。 「それが難点さ。でなきゃコーンも牛も自分の管理下にあって調査を続けられたんだ。」 そして、農務省が彼のコーンを差し止めて欲しいという。 「これは、大問題になると思うよ。間違いでなけりゃね。」と言う。
コーンは売られたが、このコーンの報道で買い入れたエレベーターは、搬入を拒否した。 ロスマンの事件は周辺州の農家の注目を集めた。 ロスマンによると、ミシガン、ミネソタ、アイオワの農家12人近くが自分達の豚や牛の繁殖率が落ちたと言ってきていると言う。 ガースト種子の広報ジェフ・ラシナは火曜、声明の中でアイオワのスレーター社は、状況を把握しており、既に調査を行っていると発表した。 「我々は、彼が経験した問題は、コーン種子の所為ではないと確信している。ロスマン氏が購入したハイブリッド(交配種)は何年も広く栽培されてきているのに、他に彼のような経験をしているものは一人もいない。」と書いている。
バイテク業界がコーンのクレームに反論
エミリー・ガーセマ AP記者
2002年10月10日
訳 山田勝巳
ワシントン−研究者とバイテク企業が、毒性のカビが入っていると疑われるコーンを食べて中西部の家畜が一部不妊になったという農家と環境団体のクレームに反論している。 ゲーリィ・マンクボルド州立大学植物病理学者は、水曜彼と獣医が行った検査ではコーンが原因ではなかったと発表した。 アイオワで検査されたコーンには低レベルのカビはあったものの、問題になるほどのレベルではなかったという。 調査した研究者は、家畜の扱いや餌のやり方が不妊になった原因だろうと結論した。 「豚の群では、繁殖に問題が出るのは珍しい事じゃない。」とマンクボルドは言う。
環境団体と農家は、ガースト種子社が生産したバイテクコーンは、市場に出回ったら食品を汚染しかねないと考えている。 彼らは、農務省に検査のために該当コーンを差し押さえるよう求めている。 ガースト種子の社員は、自分達の検査では安全だったと言うが、農務省の研究者は、そのコーンには有害なカビがあるのではと疑っている。問題となっているコーンはBtとして知られており、これは作物の害虫に抵抗を持つように遺伝子組み換えされている。 研究者と業界は、コーンは普通僅かなレベルのカビはあることを調査で認めている。
セントルイスに本拠のあるモンサントのブライアン・ハーレィ広報担当は、家畜の不妊をBtと結びつけるのは「不適切だろう」という。 コーンは湿気た建物の中に貯蔵すれはかびてくるとも言う。 業界側は、環境団体地球の友がコーンについて偽情報を流していると批判する。 バイテク業界団体の広報担当リサ・ドライは、市民団体がかびたコーンが食品に入り込むと言って人々を脅していると言う。 「地球の友の発表は日和見的で、このコーンに食事と飼料を依存している人達がいるのに無責任の感を免れない。」
地球の友のマーク・ヘルム広報担当は、皆の健康や環境を守ろうとしていると言い「人騒がせに言ったことは一つもなく、これを見てくれ、心配だ、と言っているだけだ。」という。 アイオワ州ハーランの農家ジェリー・ロスマンは、農務省に対し、彼の農場や地域の農家で豚が不妊になったのは、コーンに問題があるためだと警告した。 検査書類と獣医の手紙が、学者が安全だと確信が持てるまでこの穀物を検査する必要がある事を示していると言う。 「普通のよりカビが出にくい筈の穀物を扱っているのに毎年増えるばかりだ。 なんとかしろと言っているだけだ。」とロスマンは言う。 ロスマンによれば、アイオワ、ミシガン、ミネソタから12軒近くの農家が同じ様な問題がコーンにあると言ってきているが、自分達の作物が売れなくなるので表に出たくないんだと言う。