論文:J. Agric. Food Chem. 51 (14), 4004 -4007, 2003

 

収穫前のグリフォサート散布は硬質赤春小麦Triticum aestivum)にシキミ酸を蓄積

     

Gail A. Bresnahan,* Frank A. Manthey, Kirk A. Howatt, and Monisha Chakraborty

(北ダコタ州立大学植物科学部及び穀物食品科学部)

訳 河田昌東

 

(要旨)

グリフォサートは様々な作物の栽培で使われる非選択性除草剤である。グリフォサートは植物の葉面から吸収され植物の代謝が活発に行われている場所に移動する。そこでシキミ酸経路に干渉する。穀粒発達の初期と後期にグリフォサートで処理した小麦で、シキミ酸がどのように蓄積し分布するかを調べ、製粉工程と製パン工程でシキミ酸がどのように変化するかを調べる実験を行った。小麦の植物体では全体にシキミ酸の濃度が上がった。シキミ酸の濃度はグリフォサート処理後3〜7日で最大になり、収穫期までだらだらと低下した。グリフォサート処理した小麦のシキミ酸含量は、小麦粉段階で処理しないものに比べて3倍高く、製パン後も2倍高かった。グリフォサート処理した小麦粉で作ったパン粉とパンの耳でも同様にシキミ酸濃度は高かった。収穫前のグリフォサート散布は硬質赤春小麦とその加工品でもシキミ酸の濃縮をもたらした。

 

河田訳注:

この論文は、Journal of Agriculture and Food Chemistry (農業及び食品化学)という専門雑誌に最近掲載されたものである。現在、ラウンドアップ耐性小麦の商業栽培と食品流通をめぐって、アメリカやカナダ国内でもモンサントと消費者・生産者の対立が激しくなっている。最近、カナダの大手生産者団体「カナダ小麦協会」は分厚い報告書をだし、ラウンドアップ耐性小麦の採用に反対する立場を鮮明にした。そうした中で出版されたこの論文は、消費者にも大きなインパクトを与えるだろう。なぜなら、シキミ酸は細胞内の代謝中間産物として大事な物質だが、同時に毒物としても知られているからである。

 

 

 

 

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