フランスで9例目のvCJD確認 最近2例の患者は繰り返し献血
04.11.25
フランス保健・社会保障省の保健総局は23日、衛生監視研究所(inVS)及び保健・医療研究所(Inserm)により設置されたサーベイランス機構が9例目の新変異型クロイツフェルト・ヤコブ病 (vCJD)を確認したと発表した(Maladie de
Creutzfeldt-Jakob : un neuvième cas de nouveau variant,11.23)。フランスでは先月21日に8例目の確認が発表されたばかりである(Maladie
de Creutzfeldt-Jakob : un huitième cas de nouveau variant,10.21)。いずれのケースも、感染源については何も発表されていない。
保健総局は専ら、これら二人が繰り返し献血していたことから、血液を通じての二次感染の恐れに注意を向けている。10月のケースは93年から03年の間に繰り返し献血しており、その血液は濃縮赤血球の輸血や血液製剤の調整に使われたことが分かっている。最新のケースも84年から02年の間、繰り返し献血しており、その血液は濃縮赤血球・血小板の輸血や血液製剤の調整に使われたという(それ以前の7例については献血をまったくしていなかったことが確認されている)。
同局は、今後の措置について次のように言う。
・最近の英国の二人の患者の例で持ち上がった輸血を通しての病気伝達のリスクについては、当該濃縮品の受血者に対し、リスクの性質と将来受血する際の注意事項について医者から知らせる。
・血液製剤に関しては、伝達リスクは確認されておらず、リスクが存在するとしても分留の様々な段階で減らされる。フランス分留・バイオテクノロジー試験所(LFB)と血液製剤生産者はこの患者の血漿が使われたロットを確認したが、これらのロット由来の製品はもはや流通ルートの中にはなく、いかなる撤去や回収も必要としない。
なお、血液製剤によるこの病気の伝達リスクは、2000年12月にフランス血液製品衛生安全機関(AFSSAPS)の専門家グループにより評価済みであり(注1)、この評価は04年2月の見直し(注2)を含め、何度も見直されてきたし、新たな見直しも進行中と言う。
ともあれ、今回の確認で、世界のvCJD患者は、英国:151人(10月29日現在、生存者5人)、フランス:9人、アイルランド:2人、米国・カナダ・イタリア各1人の計165人となった。
(注1)その結論は、次のようなものである。
・血液や血液製剤のvCJD伝達リスクが存在するかどうかを知ることは現状では不可能で、リスクが存在する証拠はない。
・だが、vCJD患者のリンパ組織に感染性が認められたことなどからしてリスクは排除できない(リスクは「理論的」なもの)。結果の重大性を考慮して予防措置を勧告できる。
・リスクのレベルは血液と血液製剤で区別される。後者は分留の過程で安全レベルはある程度高まり、前者のリスクの方が高いだろう。
・どれについても禁止を正当化できるようなリスクがあるとは判断できない。個々の製品種類ごとに安全性を高め、場合によっては代替品を供給するための措置が提案される。
(http://www.agmed.sante.gouv.fr/pdf/6/vmcjsg_a.pdf)
(注2)輸血による感染の疑いが強い03年12月の英国の事例の発見が主な動機となった見直しである。血液を通しての伝達のリスクは「理論的」なものから「現実的」なものになったとしながらも、それまでに取られた安全レベル改善措置以上の新たな措置は必要ないと結論している。これらの安全レベル改善措置とは、80年から96年の間に英国・ブリテン島に1年以上滞在したものの献血の禁止(01年1月実施)、すべての血漿からの白血球の最大限の除去、血液製剤の調整方法の改善、フランスに輸入され得るBSEまたはvCJD低リスク国からの輸入血液製剤の処分、患者や献血者の情報の改善などである。
(http://www.agmed.sante.gouv.fr/pdf/6/vmcjsg_04.pdf)