フランケン食品と作物は生物時限爆弾か

地球島ジャーナル

ジョン・ロビンズ

2001年12月

訳 山田勝巳

 

生物学的黙示回避

これらの“遺伝子操作”製品は全く安全だ。 大体において“自分が食べているかどうか” さえ分からないし、大事なことは知る必要がないということだ。

−ブライアン・ハーレィ、モンサント広報担当

 

遺伝子操作食品の安全性については、大論争が起きている。 推進者は、リスクが誇張されていると折に触れ話す。 「世界中で25,000の遺伝子組み換え作物の実験が現在行われており、リリースされたものも一度として、また危険なことは一つも起きていない。」と英国バイテク企業アドバンタ社の広報担当者は言った。 2000年の大統領選挙中、当時候補者だったジョージ・W・ブッシュは、「研究に研究を重ねても危険であるという証拠が出ない」と言った。 そして、クリントン政権の農務大臣ダン・グリックマンは、「厳重な科学的検査また検査」で遺伝子操作製品の安全性が証明された、と話した。

 

本当にそうか。 残念ながらそうではない、と懸念する科学者連合の上級研究者ジェーン・リスラー博士は言う。 植物病理学博士で、4年間EPAの生命工学規則の策定を行ってきた博士は、遺伝子操作植物の環境リスクに関する国家的権威だ。

 

「これらの検査で何も出なかったというのは、余り意味はない。」と彼女は同僚のマーガレット・メロン博士(農務省農業生物工学諮問委員会メンバー)と共に記している。 「圃場試験は、安全性の追跡記録は残さないが、見ざる、聞かざるの典型だ。」

 

研究者が本当に見たら、見えてくるものは恐ろしいものかも知れない。 数年前、ドイツのバイテク企業が、普通の土壌菌クレブシエラ・プランチコラを組み換えして、木材チップ、トウモロコシの茎、製材業や農業の残滓を分解して、その過程でエタノールを生産しようとした。 素晴らしい功績に見えた。 組み換えクレブシエラ菌は腐食する有機物を分解し、その過程でガソリンの変わりに使える燃料を生産し、温室ガスの低減もできる。 工程終了後のクズは、堆肥のように土に帰せると思われていた。 みんなが勝利者だ。 EPAの承認を得た会社はオレゴン州立大学でバクテリアを圃場試験した。

 

意図した目標−腐植して行く有機廃棄物を除去し、エタノールを生産する−に関しては、組み換えバクテリアは成功だった。 しかし、博士課程のミシェル・ホームスが、工程終了後の残滓を生きた土に混ぜようと決めたとき、誰も予想しなかったことが起こった。 組み換えクレブシエラを混ぜた土に蒔いた種は発芽したものの、その後一つ残らず死んでしまったのだ。

 

何が殺したのか。 組み換えクレブシエラは、土壌菌よりもかなり優勢であることが分かった。 植物は、菌根菌の助けを得て窒素などの養分を土から得ている。 菌根菌は土壌中に住んでいて植物の根に養分を供給する。 だが、組み換えクレブシエラが生きた土壌に持ち込まれたとき、菌根菌の数を極端に減らしてしまった。 元気な菌根菌がなければ生き残れる植物はない。

 

これは、植物の成長を妨げる組み換えクレブシエラのメカニズムを明らかに出来た研究者の驚くべき科学の力を証明するものだ。 一杯のティースプーンの肥沃な土の中には何千もの種類の微生物がいて、何兆もの相互作用がある。

 

しかし、研究者が見たものは、それとは違う背筋が寒くなるものだった。 組み換えバクテリアは土壌に居座り続け、一度放たれたら、組み換えクレブシエラが定着し、実質的に根絶できない可能性が出てきたのである。

 

「データが出始めたとき、EPAの担当は、我々のやり方がまずいからだと言って、厳密にやり直した。 彼らは、実験の設計にまずいところは、何も見つけられなかったが、懸命にやった。 もしこの実験をやっていなかったら、クレブシエラは、承認プロセスを通過して商業リリースされていただろう。」とミシェル・ホームスのやったクレブシエラの実験の指揮をしたオレゴン州立大学土壌病理学者のエレーン・インガムは言う。

 

遺伝学者ディビッド・スズキは、本当に不吉なことが起こったと理解している。 「組み換えクレブシエラはこの大陸の植物を全部殺したかも知れない。 これ一つの例でも十分に恐怖だ。」と話す。

 

こうしている間もモンサントや他のバイテク企業は市場に持ち込むことを期して、熱心に色々な組み換え生物を開発している。 安全をどう確認するのか。 スズキによれば、「しないし、広く使われて何年もしないと分からない。」という。

 

神経をなだめ、未来への信頼を回復する展望ではない。 科学者が、成果を示したら、それは決して地球の生命を危うくするものだとは思いたくはない。 勿論、これらの企業経営者、そしてそれを管理する政府職員もそんなことには決してならないようにするはずだと思いたい。

 

だがここでもまた、モンサントのような企業が、生活をより良くすると約束したものが、全くそんなものでないことが分かるというのは、一度ならずある。 結局の所PCBやオレンジ剤(農薬)を作った会社である。 そもそも、人工甘味料のサッカリンを作るために作った会社だが、それさえも後から発ガン物質であることが分かった。

 

勿論、モンサントは言うだろう。「今度は心配しなくても大丈夫」と。

 

GE作物は、封じ込められない

ウォール・ストリート・スアラルが行った検査では、遺伝子操作産物は”含まず”と表示のあった20個のベジタリアン食品の中16からGE大豆が検出された。 自然の道食品(Nature's Path Foods)のアラン・ステファンが言うように、野生作物と有機作物を遺伝子汚染から防ぐ「完全な壁は作れない」のだ。

8月、ベルギーの研究者は自分の発見に驚いた。モンサントのGE大豆がDNA片、相同配列のないDNA片が検出されたのである。 「誰もこの余計な配列がどうなっているのか分からない、その影響も。 モンサントが、この最も基本的な情報をまともに出来ないとしたら、彼らのやった安全性試験の有効性はどう考えるべきなのか。」とグリーンピースUKのダグ・パーは言う。

 

 

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