世界農業機関(FAO)リポートは、GMO無しで世界を養えることを表明

 

Natural Law Partyホームページ(www.Btinternet.com/〜nlpwessex/Documents/faoreport.htm)

抄訳 河田昌東

 


(訳注:遺伝子組換え作物の開発は、未来人口の増加に対応するため、という主張と期待のもとに推進されている。しかし、以下に紹介する国連の機関FAOの最近のレポートは、在来の農業手法によっても、2030年までの増加人口は養えること、食糧不足の主たる原因は農業生産力の不足ではなく、経済の不均等発展による貧困にある、としている。このレポートは問題の解決の方向が遺伝子組換えによる食糧増産にあるのではないことを明らかにした点で注目すべきレポートである。 

FAOレポートの原文Towards 2015/30, Technical Interim Report, April 2000は以下のサイトで閲覧できる http://www.fao.org/es/ESD/at2015/toc-e.htm―――― 河田)

 

 


世界の人口は2030年までに80億を超えると予想されている。 世界は、このグローバルな要求を満たすに十分な食物を生産できるだろうか? 国連食糧農業機関(FAO)のグローバルな視野研究班が4月に完成し7月に発表した報告書によると、答えはイエスである。

 

この結論は、FAOのエキスパート・グループが、遺伝子組換え作物による生産量の改善が無いのを前提にした定量分析手法により導かれた。  FAOはGM作物技術の性能、安全、および需要者の受けとめに関して、不確定要素が進行中のためこれらの要素を考慮の対象にしなかった(報告書p2)。

 

従って、FAOの見とおしは、『現在』の技術に関する知識だけに基づいて行われた(p1、2、95、および117)。  遺伝子工学分野において将来どのようなインパクトのある開発があるかもしれないが、それは無視し、ベースラインとなる1995/7年の知見を使って、FAOリポートは以下のことを明らかにした:

 

●  国連(UN、1999)による世界人口の最新の評価は、将来の世界人口の成長には統計学的に『大幅な減速』があることを示している(p3)。

 

● 世界人口の成長率は、1960年代の後期において年率2.1パーセントでピークに達し、1990年代後半には1.3パーセントに低下し、2015年までには1.0パーセント、2030年までには0.7パーセント、そして2050年までには0.3パーセントにまで下落すると予測される(p4、p25)。

 

● グローバルな作物生産の年間成長率は減少すると予測されるが、2030年までの世界の作物生産における全体的な増加は57%(p95ー96)となり、人口増加を越える(p25)。

 

● グローバルな一人当たり食物消費量はかなり増大する。 世界平均では2015年に3000kcal/人/日に近づき、2030年には3000Kcal/人/日を越える。 開発途上国の平均的な食物消費量は、1990年代の2626kcal/人/日から2030年には3020kcal/人/日まで上がるだろう(p4、23、29)。

 

●  開発途上国の栄養十分な人口(すなわち、栄養不良に分類されない階層)の数は、2030年までに75%まで増大し、それらの国々の人口の94%に達する(p5) (未払残高は、急速な経済発展と貧困の縮小へ移行することにそれらの国々が失敗したことの反映である(p40))。

 

● これと並行して、栄養不良の高い発生率の国の数は2030年までに84%減少する(p5)。

 

●  2030年までに、開発途上国の作物生産は1990年代より70パーセント増加するように計画されている(p11)。

 

● 開発途上国の作物生産の、計画より速い成長は、世界平均に比べて、2030年までにこのグループの国ぐにが世界作物生産の約4分の3(72パーセント)を生産することを意味している。1961/63年には半分(53パーセント)だった生産量が1995/97年には2/3 (66パーセント)にあがった(p95)。  [こうした予測を考えれば、バイオテク企業が現在、開発途上国にGM作物のための足場を得ようと切望していることは驚くにあたらない。]

 

FAOリポートは次のように強調している:

将来に関しては, 各種の予測研究が行われ、土地を含む世界農業の資源基盤がこれまで同様フレキシブルかつ適応性をもって発展しうるかどうか、そしてまた、そうした要素が食糧の値段に下降圧力を課し続けるかどうかに関しては、総じてポジティブな回答を与えている(例えば Pinstrup-Andersen et al., 1999)。 「総じてポジティブな答え」が意味するのは、基本的に世界全体としては十分な、あるいは十二分な食糧生産能力が有効需要の成長に見合う、すなわち金を払って食糧生産を求める人々の需要を満たすことが出来るということである(p109)。

 

すなわち、どのような飢餓問題も大半は食糧生産よりは貧困によるものである(p40)- :例えばインドのケースでは、この国は大量の穀物過剰を保有しているにもかかわらず、 数百万人の人々が空腹である。 こうした状況については参照 -http://bio tech-info.net/Biotechnology_not_answer.html  こうした最重要の貧困要因があるにもかかわらず、栄養不良の人々の絶対数は、予想される総人口の増加があっても、2030年までには世界的には半減すると予想される(p40)。

 

FAOは、国連内最大の独立機関である。 そのリポート「農業:2015/30に向けて」は下記のホームページで閲覧できる。 http://www.fao.org/es/ESD/at2015/toc-e.htm

 

FAOの食糧増加の量的な予測が遺伝子組換え技術の要因をまったく考慮していない一方、遺伝子組換え作物が、在来作物よりも農民の状況を悪化させていることに注意しなけらばならない。

 

従って、残る問題は明らかである。即ち-私達はなぜ組み換えDNAを含むGM作物導入による、環境とグローバルな食物セキュリティに不要なリスクを負っているのか、ということである。

 

それらの問題に関する詳細はカリフォルニア大学、デイビス校の農業&環境科学科教授で果実栽培学および国際プログラムのディレクターでもある、パトリック・ブラウンによる優れたレビュー『植物バイテクの約束-遺伝子組換え生物の脅威』を参照。

 

「組換えDNAテクニックは、伝統的な育種方法とまったく違い、予期できない代謝異常を起こすことでよく知られている。実質的同等原則は科学的には正しくない; それゆえ、私達は、どのような組換えDNAの技術の安全性についてもアプリオリに受け入れることは出来ない」 パトリック・ブラウン(2000年7月)。

 

 

戻るTOPへ