EUの遺伝子組換え承認モラトリアムは2年延長か
2001年10月19日
International Trade Daily紙
訳 道長
欧州委員会は10月18日、現在の欧州連合(EU)のEU圏内での遺伝子組み換え生物に対する承認の一時差止め(モラトリアム)はさらに2年間継続するものと思われると発表した。
委員会が望んでいた厳格なトレーサビリティと表示の要求という新たな方式を企業が自発的に施行することで、2年間以上も続いているGMO承認の阻止を克服できるのだが、EUのメンバーの圧倒的多数がそのプランを退けた。米国はそれらが非科学的根拠に基づいた貿易に対する障壁であるとして、委員会の論点である世界貿易機関における表示とトレーサビリティの要求に対しきびしく異議を申し立てた。
委員会のスポークスマン、ピア・アーレンスキルド女史は、「委員会はトレーサビリティと表示の要求をモラトリアムが解かれる前の7月に開かれる委員会により承認されることへの意向が加盟国により明確に示されました」と述べた。「大臣級の協議会と欧州議会によるトレーサビリティと表示の要求が承認されるのにかなりな期間を要するであろうため、モラトリアムがさらに2年間実施されるということを基本的に意味するのです。
委員会は加盟国にモラトリアムを何度か中止させようと試みた。規定のGMO認証規則に基づいてEU実行委員会がEU加盟国の反論に対して優先すべきであるため、EU法に基づけばモラトリアムは違法であると委員会は主張する。モラトリアムを課すEU加盟国はフランス, イタリア, ギリシア, ベルギー, デンマーク, およびルクセンブルクである。重要な点は、ドイツ農業省の公表した(同国のモラトリアムへの公然とした支持への政策の移行を示唆するであろう)委員会に宛てたレネート・カストの最近の手紙によると、ドイツが反対の立場に名を連ねようとしているのかも知れないという事である。その手紙の中でカスト女史は委員会のプランを「不可解で、根拠がない」として退けている。