EU GM魚や動物は駄目
GM漁の養殖は「危険すぎる」
02年9月2日
ニューサイエンティスト
アンディ・コフラン
訳 山田勝巳
イギリス政府科学諮問委員は、GM魚は川や海で囲って養殖すべきではないと言う。魚は環境中に逃げ出してその結果は予測がつかないとクローン及びGM動物に関する新たな農業環境バイオテクノロジー委員会の報告で警告している。
「一旦魚が逃げ出せば、捕まえようがない。」と話すのは委員会議長のマルコム・グラント氏。彼によれば、委員会報告はGM食品が市民の反対で没になったような事態をGM動物では未然に防ぐのが目的だという。「遺伝子バイテクは人と動物の関係に新たな一ページを開いた。 だから、何年後かに起こりうる事態に備えなければならない。」
"好ましくない変更"
彼の予測では、GM動物はここ10年は出てこないだろうが、GM魚は5年以内に出てくる可能性がある。
マサチューセッツのアクア・バウンティ社は、プリンス・エドワード島でGM鮭を開発しており、アメリカ国内で販売する許可を待っている。「現状では、許可すべきではない。」と委員会のアンナ・ブラドレィ委員は言う。 報告では、動物を「動物本来の姿を変えるような好ましくない変更」から法的に「保護」しなければならないとしている。 これには例えば猫から狩りをする本能を取り除くというのがある。 別の例では、家畜がストレスの多い飼育法でも耐えられるように「能力を向上」して感覚を鈍らせるというのがある。
ペットをクローンする
報告では、政府の動物手続き委員会(動物実験を規制している)に対し、「気に入ったペットや愛玩動物を複製したりする些細な目的」のための許可を与えないように早めの決定を支持している。 グラント氏は、ペットのクローンは「些細で忌むべきもの、また買い手を騙す」ものだという。 GM動物やクローン動物の新規制をいつ導入すべきか政府に助言したり開発を監視するために、新しい「戦略諮問組織」を設立すべきだと委員会は提案している。
重大な影響
倫理学者や医療、獣医学者は全般的に報告を歓迎している。 著名な生殖学者ロバート・ウィンストン卿は、飼育動物や養殖魚に関する提言は、良識的で適切だとコメントしている。 「しかし、規制が医学研究のためのGM動物に対して必要以上に厳しくならないようにすることは極めて重要なことだ。 アメリカでも、動物保護が思いやりがあり適切に実行されているところではあるが、許可を得るのに一年ではなく数週間で得られている。」 ウィンストンが恐れているのは、戦略諮問組織が、許可手続きをさらに遅らせることで、「英国科学のために重大な影響がある。」と言っている。