EU議会委員会がGM食品の表示規則を強化
02年6月5日
EU ブルッセル発
訳 河田昌東
遺伝子組換え(GM)食品及び家畜飼料には明確に表示し、非組換え体との分別を守らなければならない、とする意見をEU議会委員会が昨日採択した。
EU議会環境委員会は消費者が必要ならGM食品を排除できるようにするために、EU規則の草案を厳しくする案を採択した。この法案は、承認されれば最終的には新たなGM作物の品目の承認の歯止めをはずす可能性がある。加盟15カ国は、多数派のメンバー国が新たな規制を先延ばしにする公約をした1999年以来1種類も新たなGM作物を承認していない。
同委員会は、GM原料から作られた全ての食品と動物飼料に対して、例え途中の加工過程で組換え遺伝子が破壊されたとしても、明らかに分るように表示すべきだという、昨年7月にヨーロッパ委員会が提案したプランを支持した。同委員会は、この要求をGM飼料で飼育した動物の肉、卵、ミルクにまで拡張することを承認した。
また、同委員会は非GM食品に未承認のGMが1%まで混入を認める、という提案を削除したが、これは、EU域内で未承認の作物はいかなる混入も効果的に禁止するためである。 環境保護主義者達はこの承認を勝利だとして歓迎したが、バイオテク企業は、7月に開かれる欧州議会では多くの修正条項が削除されるよう望む、と言っている。欧州議会は各EU参加国が立法権を分け合っている。
「これは常識的な承認だ。消費者にも環境にも大変良い。」というのは『ヨーロッパ 地球の友』のGM問題の広報担当のゲルト・リトセマである。 企業連合のヨーロッパ・バイオは認可されたGMと未認可GMとの偶然の混合に対して、許容濃度をもっと高くする必要がある、といっている。同委員会は汚染レベルの最大値を0.5%としたが、企業はもっと余裕を持たせて、有機食品への非有機食品混入を5%まで認めるべきだ、と希望している。
「我々は、環境委員会で起こったことはバイテク懐疑投票だと考える」とヨーロッパ・バイオのアデライン・ファレリーは言う。 先月、英国議会委員会のあるメンバーは、この提案は実行不可能だと言った。「これは同委員会が考えているトレーサビリテイーの程度を法制化するのにも役に立たない。特に大豆やトウモロコシといったバルク商品の輸入には実際的でない」というのはこの提案にたいする疑問を代表するセルボーン伯爵である。