ヨーロッパのバイテク企業がGMから大脱走

 

ザ・インデペンデント

03年3月23日(報告書のフルコピーはhttp://www.jrc.es/gmoreview.pdf

訳 河田昌東

 

ヨーロッパのバイテク企業は数百万ポンドも投入した遺伝子組換え作物の研究をキャンセルし、厳しい瀬戸際にたたされている、という新しい報告書が出た。

 

EU委員会はEU加盟国のバイテク企業のほぼ3分の2が過去4年間にGM研究プロジェクトを打ち切ったが、その主な理由はGM作物の安全性と表示に関する論争と消費者の反対であることを認めた。同委員会はまた、GM作物の試験栽培申請件数が昨年76%落ち込み、250件だった1998年をピークに1992年以来の最低レベルになったことを認めた。これに比較すれば、アメリカの試験栽培件数は比較的安定で年間約1000件である。

 

16500人の世論調査の結果がGM作物に対して根強い不安を示していることが分かって同委員会の憂鬱はいっそう深まった。ヨーロッパ人の44%は、医療バイテクは彼らの生活を良くするだろうと信じているが、GM食品を支持しているのは36%にすぎなかった。

EU研究委員のフィリップ・バスキンは「いわれのない恐怖心と偏見がEUの経済見通しをひどく傷つけている」と嘆いた。「次第に増加しつつある懐疑的な空気はヨーロッパのバイテク企業と研究センターを逃避させている。もし、我々が今この流れを逆転させなければ、我々はよそで開発されたテクノロジーに依存することになる」と彼は言った。

この問題に対処するために22億5000万(ユーロ?)をライフサイエンスの研究に追加投入するつもりだ。

 

この研究報告書はまた、ヨーロッパでは公的セクターが次第にバイテクの研究開発に中心的な役割を果たしつつあることを明らかにした。巨大バイテク企業がGMプロジェクトの68%を放棄したのと比べて、公的研究所は22%、大学は25%しか取りやめていない。

GMグループは、バスキン氏がバイテク企業の存続について投資家が神経質になっている事実を無視している、と言う。ロンドンの「社会のための科学研究所(ISIS)」の調査では、昨年アメリカの主要バイテク企業の株価は43%下落したという。

ジーン・ウオッチというキャンペーン団体のスー・メイヤーは、同セクターは栄養や健康を改善する(新たな)GM作物を速やかに生産する、という主張を展開できなかったし、試験栽培による不利な結果を隠した、という。

 

 

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