英国人の硬膜移植によるCJDは1970-2003年に7件 1件は豚の組織によるー新研究
06.4.21
1970年から2003年までの間の英国人のクロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)の七つのケースが硬膜移植によるものであるとする研究が発表された。 七つの硬膜移植は、移植後4年から15年の間にCJDを引き起こした。六つのケースは同一のソースで引き起こされたが、残り一つのケースは豚の組織で引き起こされた。豚の組織を通じての伝達が発見されたのは初めてではないかという。
C. A .Heath et al, Dura mater-associated Creutzfeldt-Jakob
disease: experience from surveillance in the UK, J Neurol Neurosurg Psychiatry.
Published Online First: 20 April 2006(doi:10.1136/jnnp.2005.073395)
Abstract;
http://jnnp.bmjjournals.com/cgi/content/abstract/jnnp.2005.073395v1
人間の硬膜は人間のCJDの重要な伝達源の一つとして知られている。わが国では1996年から2003年の間に人の硬膜移植が引き起こした97のCJDのケースが報告され、訴訟がおきた。現在ではヒト乾燥硬膜の使用は停止されている。しかし、豚の組織を通じての伝達があり得るとすれば、新たな問題が生じる。
豚の臓器の人間への移植医療で欧米に遅れている日本でも、いずれ広がる可能性がある。厚生労働省は2002年に「異種移植に用いる細胞、組織又は臓器に随伴した異種動物由来感染症については、ウシ伝達性海綿状脳症(BSE)からの新変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)等動物由来の感染症の発生や、ブタ細胞と共培養したヒト細胞にブタ内在性レトロウイルス(PERV)が感染したことを指摘する研究等があり、現時点では未知の感染症の発生及び伝播が起こらないことを保証できる段階になく、同種移植とは異なる予測困難な問題が残されている」として、「異種移植の実施に伴う公衆衛生上の感染症問題に関する指針」を出した。
http://www.mhlw.go.jp/general/seido/kousei/i-kenkyu/isyoku/sisin.html#0
しかし、豚の臓器移植によるCJD感染は考慮されているのだろうか。
なお、研究は、英国では1987年以来の消毒技術と併せた移植臓器選別基準の改善により、CJD伝達のリスクは減ってきたと指摘している。