動物でさえ遺伝子組換え食品を避ける

     

ISIS 記者発表(http://organicconsumers.org/ge/shun121703.cfm

2003年12月13日

訳 河田昌東

 

動物は確かな理由でGM食品を避ける。実験と事例研究によれば動物はGM食品を避けようとし、もし強制的に食べさせても成長が悪い、というエヴァ・ノボトニー博士の報告。

 

イギリス政府が種子登録したいと願っている遺伝子組換えトウモロコシに関する公聴会への申し込みの過程で、私は動物がGM食品にどう反応するかに関する証文書を閲覧する機会を得た。この証拠文書は大変興味あるものだった。

 

チャードンLL実験について

チャードンLLは除草剤グルフォシネートに耐性を持つように遺伝子組換えされたトウモロコシである。植物全体が牛の飼料にされるはずだが、これが安全かどうかという実験は行われていない。このトウモロコシをイギリス国内で商業栽培したいという認可申請がアベンテイス社により出されたが、それは2種類の動物飼育試験に基づいている。一つはGMトウモロコシをニワトリに食べさせる実験で、もう一つは単離したGMタンパク質をラットに与える実験である。どちらの実験も研究者らは試験した動物は飼料を食べ正常に体重が増加した、と結論している。

 しかしながら、このデータを再分析するとそれとは異なる結論が導かれる。チャードンLLを280羽の若いブロイラーに42日間食べさせる最初の実験は、コーンの栄養価の違いを検出する目的で行われた。全てのニワトリは自由に食べられるようにした。公式報告書によれば、「体重増加、飼料摂取量、死亡率%など生存中のトリの形質は、試験期間中飼料の出所による違いがなかったことを示し、アメリカ産のグルフォシネート耐性コーンの摂取値は42日間、今商業的に入手できるコーンに比べ同程度であった。従って、グルフォシネート耐性のコーンの栄養価は通常のコーンと同等である。死亡率も正常と判断された」という。

 

しかし、このデータをさらに詳しくチェックすると、たくさんの説明できない異常が見られる。GM飼料を食べたニワトリは、体重の平均値は対照区に比べてたった1%低いだけだったが、標準偏差はGMトウモロコシを食べたニワトリの方がより大きく、実験がすすむにつれてその誤差範囲はますます大きくなっていった。最初の実験期間(0〜18日)でGMトウモロコシを食べた試験群は、非GMトウモロコシを食べた対照群に比べて平均9グラム余分に餌を食べた。第2期(18〜32日)には試験群の摂取量は対照群に比べて7グラム少なくなった。最終段階(32日〜42日)では試験群の飼料摂取量は対照群に比べて63グラム低下した。その上、試験群の個体間誤差範囲は時が経つにつれてますます拡大した。両群で平均体重と平均飼料摂取量には有意差がなかったが、試験群では飼料摂取パターンの誤差が大きく、何羽かのニワトリはグルフォシネート耐性トウモロコシでは成長しなかったことを示していた。

 試験中の死亡に関する情報は死亡率の形でしか示されていない。グルフォシネート耐性トウモロコシを食べたニワトリでは死亡率は5.47%から7.14%で、非GMトウモロコシの群では3.57%〜4.29%であった。前者の死亡率は後者の2倍大きいが、報告では実験室でのオス・ブロイラーの死亡率は通常5〜8%だと指摘している。しかし、GMトウモロコシを食べたニワトリの死亡率が対照群の非GMトウモロコシを食べたニワトリの2倍大きいということは意味があるはずである。

 もう一つの実験はラットにPATタンパク質を食べさせた実験である(訳注:PATタンパク質は除草剤グルフォシネート耐性を与える遺伝子が作るタンパク質)。このラットによる実験も、ニワトリの実験同様、牛には殆ど関係が無い。なぜならこれらの動物は、牛とは消化器官が全く違うからである。その上、食べさせたのはチャードンLLトウモロコシではなく、それに含まれるPATタンパク質だけであった。だから、この給餌試験の影響はGMトウモロコシを丸ごと食べさせたものとは当然違うはずである。また、実験期間も極めて短く(14日のみ)、これでは生涯にわたる長期的な給餌の影響は分からない。特に、このトウモロコシを問題の動物と全く違う動物に与えた場合はそうである。 たった5匹のオス・ラットと5匹のメス・ラットからなる4群が検査対象だった。この実験の開始当初から各個体には相当の体重差があった。 にもかかわらず、この報告書では平均的な飼料摂取量は実験期間中、試験群も対照群も同じであった、たまたま記録された対象群個体と試験群個体との違いは一般に小さく、因果関係を示さず、即ち整合性があり、平均体重は試験群も対照群も同じであった、と結論している。GMトウモロコシのせいにできる違いは無かった、という。  

この研究の目的はGMの毒性を試験することであったが、このデータはPATタンパク質を含む餌では動物は成長しないかもしれない、という証拠を示している。その証拠は体重と食事摂取量に現れている。40匹の若く盛んに成長しているラットを二つの試験群と二つの対照群に分けた。それぞれにオスとメスが5匹ずついる。全ての動物は自由に餌を取れるようにした。それぞれオスとメスに分かれているデータの表を見ると、四グループの平均体重が数日おきに測定されている事がわかる。PATタンパク質を少量与えられたオス・ラットは対照群とほぼ同じ体重である。ところが、多量のPATタンパク質を与えられたオス・ラットは、実験開始時点では最も体重が重いグループだったのに、その後は他の全ての群と比べて体重が次第に低下している。PATタンパク質を摂取したメス・グループは両方とも対照グループに比べて次第に体重が少なくなっていった。実験開始時には多量のPATタンパク質を与えられたメス・グループは最も体重の大きな群だったにも関らず。

PATタンパク質をたくさん与えられた群はオスもメスも、実験期間中平均で、一日当りの体重増加は二つの対象群(オスとメス)のどちらよりも顕著に低かった。 実験の後半になると、各動物のデータをみるとPATタンパク質の少量摂取群のうち、メス2匹とオス2匹は同群の他の個体と比べても、また二つの対象群個体と比べても、急速に体重増加は低下した。PATタンパク質多量摂取グループのラットではオス3匹とメス1匹が実験後半で体重増加率が減少した。

 実験動物数が少なく、実験期間が短すぎるので、これらのデータだけでは結論できないが、PATタンパク質を摂取した動物の何匹かで体重増加率の低下があったことは、このPATタンパク質を含む飼料では成長が促進されなかったことを示唆している。このデータはまた餌の摂取のパターンが、PATタンパク質を多量に食べた群全体で異常だったことも示しており、これはこの飼料がラットには不適切であることを示唆している。実験期間中、他の群とちがってこの飼料を与えた群は、オスもメスもはじめは沢山摂取しそれから急に食べなくなり、最後の5日間は摂取量が急増した。この点も他の群とは違っていた。

     

野生の牛はGMトウモロコシを食べない

 次の新聞発表は当時の農水食糧大臣が2000年11月20日に発表したものである。

NIAB(国立農業バイテク研究所)は農水食糧大臣に飼料用GMトウモロコシの試験栽培で起こったびっくりするようなダメージについて報告した。このダメージは10月に試験栽培圃場に牛が紛れ込んで起こったものだが、牛はこのGMトウモロコシを食べた形跡が無かったのである。問題のGMトウモロコシはシェリダンと呼ばれ、EUで動物飼料用と人の食用に認可登録されているものである。それ以来その場所の踏み荒らされなかったトウモロコシは刈り取られたままである。シェリダンはチャードンLLと同じ遺伝子構成を持つGM飼料トウモロコシである。牛がこれを全く食べようとしなかった、というのは興味をひく。

 

トウモロコシが混乱を起こすとき     

アメリカのジャーナリスト、スチーブン・スプリンケルは上記のタイトルでACRES紙の1999年9月19日号にUSA特別レポートを書いている(http://www.btinternet.com/~nlpwessex/)。それには次のようなことを引用してある。カンザスからウイスコンシンまで4ヶ月間取材を続けたあと、私は、沢山の事例がある生産者の社会をもっと徹底的に取り上げる時期は今だ、と思う。GMOを含む飼料を食べない豚について。また、牛に餌を食べるのをやめさせようと思ったら、GMOサイレージに変えれば良いんだよ、と言った農民について。この牛は古いフェンスを破ってノンGMコーンを食べたのに、ラウンドアップ耐性コーンには触れようともしないんだ、と言った農民のこと。牛の群れはGMOの畑を横切って反対側のパイオニア3477(非GM)まで歩かなければならなかったのに、と彼は言った。餌をGMOに変えたら牛の体重増加が鈍ってしまったという牛飼いのこと。鹿の害で酷くやられた有機農家は、夜中に車を走らせていたら14頭ばかりの鹿が豆腐用大豆畑を横切っていたが、ラウンドアップ耐性大豆を食べるメス鹿は1頭もいなかったのに驚いた、という。有機トウモロコシ畑で暴れまわるアライグマ達だが、道路下のBtトウモロコシの畑には1頭も居たことがない、など等。マウスでさえGM作物の代替物があれば道を越えていくだろう。彼らが本能的に分かって、我々の多くが見逃しているものは何だろう。

 

Btトウモロコシを食べるのを拒否した別の牛の事例

 合衆国の農業コミュニテイーで活発に仕事をしている色々な科学者達が、GMトウモロコシを牛に食べさせるのに苦労している、と報告している。2000年4月にその1人(匿名を希望)が次のような情報を送ってきた。過去2年間に同様な報告が1ダース以上もある。 一般的に、これらの報告書はBtトウモロコシに関するものが多い。多くの農家は自分の牛が大きくなれば、他の飼料成分を加えずにトウモロコシだけを与えている。典型的な報告書は、ある農家が新しいトウモロコシを購入したら、彼の牛はそれを食べようとしないか、あるいは少なくしか食べなかった。飼料会社にたずねたらそのトウモロコシは遺伝子組換えだった。彼が非組換えトウモロコシに変えたら、牛は再び食べ始めたのだ。

 

動物の嗜好性に関する科学的証拠

 GMとノンGMを区別する能力を動物が持っているとするのは難しいかもしれないが、これらの事例は動物が実際有機栽培作物と非有機栽培作物の区別ができる、という科学的証拠で支持される。その上、動物達は明らかに有機作物を選ぶのである。

 

結論

 チャードンLL、GMトウモロコシを食べさせたニワトリとラットに関する実験を再分析すると、 公式の結論とは逆に、GM飼料を与えた場合少なくとも何匹かの動物は本来の体重増加率のようには成長しなかったことを示唆している。さらに、GM飼料を与えられたもののうち少なくとも何匹かは摂取行動に異常が見られた。ニワトリの実験では、死亡率が非GMを与えたものに比べてGMを与えたものは2倍高かった。既存の科学的証拠は家畜が有機生産された在来品種の飼料を好んで食べることを示している。一方、野生動物や家畜についての沢山の事例は、もし選ばせれば彼らはGM飼料を避けるし、GM飼料を強制的に食べさせれば成長は遅れる、ということを示している。

 

(これは「責任ある科学者達」というグループのエヴァ・ノボトニーによるチャードンLLに関する英国の2002年5月の公聴会での報告の要約版である)

 

 

 

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