ドイツで秘密のGM作物栽培が発覚
――――国内の半数で実験中と大臣が発言――――
ザ・ガーデイアン(ベルリン発)
ベン・アリス
04年5月7日
訳 河田昌東
環境活動家らがドイツ東部のザクセン・アンハルト州のGMコーンを引き抜いたことがきっかけで、ドイツ国内の16の州で遺伝子組換え作物が秘密裏に試験栽培されていることが判明した。ババリア地方のザクセン・アンハルトはGM作物の試験栽培を認めている2つの州のひとつであるが、他の5つの州では29箇所で秘密離に試験栽培が行われているという。ザクセン・アンハルトの経済相ホルスト・レーバーガーは牛に食べさせるGMコーンはバーデン・ビュルテンバーグ、ブランデンブルグ、メックレンバーグ―ウエスタン・ポメナリア、ザクセンそしてスリンギアでも栽培されている、と言った。ドイツ緑の党は厳しい遺伝子操作の法律を支持しているが、メデイアがGM栽培の広がりを暴露したことに狼狽している。同党は政権の少数与党である。「我々はGMの試験栽培の数が明らかになったことだけでなく、その総面積が300f(750エーカー)にも及んでいることに驚いている。・・・これはもう実験の域を越えてGMコーンで利益をあげるために栽培していると言える」と広報担当者は言った。同党によれば、農民は実験目的なら未認可のままGM作物を栽培しても良いというEUの規制の抜け穴を利用して利益を得ている。ドイツの遺伝子操作に対する厳しい規制に対し、農民たちはGM作物の栽培を許可し、議会上院の反対派に骨抜きにされた中央登録制度をたてなおすよう求めている。緑の党はバイテク企業と保守党は明確な法律が無いことで利益を得ようとし同盟を結んでいる、と主張している。グリーンピースはすでにEUに対し、実験圃場を秘密に出来ないようにすべきだという規制を求める文書を提出している。そしてグリーンピースのスポークスマンクリストフ・シェンは「遺伝子操作の法律を妨害する上院の州代表議員の行動は、国家の利益に反し、人々の利益にも反するものだ」と言った。
4月に、EUはすべてのGM添加物の入った食品も表示するよう求める規制を導入した。しかし、この規則はGM飼料を食べさせた家畜の肉と乳製品には適用されない。ドイツはこの規則を無視した企業に対し罰則を科すようにしていない。保守派はまたドイツ農業大臣が提案した、規制破りに罰金50000ユーロ(34000ポンド)を科すという提案も阻止した。レーバーガー氏はザクセン・アンハルト州が試験栽培に390000ユーロ(263000ポンド)の資金援助を行い、そのうち240000ユーロ(162000ポンド)は試験栽培で農家が何らかのダメージを受けた場合の保証金である、と言った。