モンサントがラウンドアップ・レディ大豆から未確認のDNA配列を発見  

 

New Scientist、2000年7月24日

訳 山田勝巳

 

モンサントはラウンドアップ・レディ大豆に、10年前の最初の組み換えから2つ別のバクテリアDNA配列が入っていることを最近認めた。植物は葉緑体の中でシキモ酸経路でフェニールアラニンのような必須芳香族アミノ酸を生成する。グリフォサートはこの経路を遮断する。5エノルピリビルシキメートー3燐酸合成酵素又はEPSPSは、この経路の重要な酵素でこれが遮断される。酵素活性がないと芳香族アミノ酸が生成されない。

モンサントは、アグロバクテリウムCP4にEPSPS耐性を見つけ、遺伝子工学の巧妙な手法で適当な制御配列と共に大豆の核に挿入した。

(同時に挿入された)転移ペプチドは細胞質内の蛋白質を葉緑体に受け入れる役割をする。最初に単離された系統)はGT402と呼ばれるが、今回の発見はこれと交配したラウンドアップ・レディ品種全てに関係する。他の耐性作物なたね、コーン、綿などは別の遺伝子組み換えで得られているので関係はないが、これらも検査している。

農務省と医薬品局FDAは1994年にパブリックコメントと閲覧を経て1996年にこれを安全だとして許可した。同じ年環境保護局がこれを許可して広く一般に出回った。

モンサントのロイ・フックは、「文字通り世界の何十もの監視機関に知らせた。FDAとUSDA(米農務省)はこれを見て安全に関する懸念はないことに合意しており、カナダも、新たな分子特性データはカナダ市場のグリフォサート耐性大豆には全く影響はないと言っており、同じ感触を持っている」と言う。

学会用にもうすぐ情報が公開される予定で、製品別検出法を開発するのに有益だという。モンサントの言うところでは、製品表示のための高感度系統)識別法を開発中に未確認挿入片を発見した。この方法は、他の作物にも使われている。フックスは「当時の最先端技術で最初の分子特性を決定したが、他の挿入片は見つからなかった」という。つまり、制限酵素でDNAを分解し、Southern  blot法で分解DNA断片を探す方法では、余分の挿入片を検出する分解能がなかったという事だ。だから他にプラスミドに起因するDNA配列はないと強調できたのだ。

自身有用な組み換え作物を作り出しているジョージア大学のリチャード・ミーガーは、「私には驚きではない。150以下の塩基対を検出するのは、交雑によって生じたシグナルが低すぎて検出は非常に難しい。」と同情的だ。5-10年前は、挿入したDNAの周辺の変化を調べることはしていなかった。フランスのベルサイユにある国立ロシェルシェ農業研究所のマーク・テファーは、「少し前まで組み換え中に起こった他の変化を探す必要があると考えた人はいなかったのは事実だ」という。しかし重要な事は、二つの余分な挿入断片の大きな方は、モンサントの研究者が組み換え後何世代も追跡している5800塩基対の、機能しているEPSPS遺伝子の直ぐ下流にある事だ。この5800の挿入片の塩基配列を決定していたなら、ヒッチハイクしているDNAを見つけられたのではないか。配列が決まった今は、あることが分かったが、なぜモンサントは商業生産に移ってからも検査しなかったのか。なぜ起こったのか。

モンサントは、なぜ余分な挿入片が大豆のゲノムにあるのか分からない。「我々の推測では、別のプラスミド・ベクターがパーティクル・ガン操作のプロセスで組み込まれたのではないか」とフックスは言う。考えてみれば驚くことではない。モンサントのチームは最初、遺伝的証拠をあげて「最初のR0植物(40-3) には、ゲノムの違う位置に2個の挿入片が入っている。)と断定した。言葉を換えて言うと、大豆にバクテリアのDNAを組み込むのは単純なプロセスではないことに、モンサントは気付いていたのだ。 組み換えは、煩雑でベクターDNAが植物の染色体にはいると奇妙なことが起こることは、今では研究者の常識だ。 しかし、フックスは、モンサントが40-3-2に到達する過程で、「当初あった余分な配列は除去された」と言い、今回発見されたのはそれとは関係がないと考えている。また「組み換え後の再合成などによるものでもないだろう」とも言う。

原因が何であろうと、EPSPS遺伝子の1360塩基対に比べると小さいが、それぞれ72と250の余分な塩基対配列があるのだ。「小さいから発現しないのだろう。メッセンジャーRNAの切片とか挿入片による複製蛋白質は検出していない」とフックスは言う。  

この挿入片に対しモンサントは責任を問われるべきか。 トファーは「モンサントは悪いことはしていない。」と言う。 考えなければならないのは、この発見で一般の人々にとってGM技術の信頼性に疑問を投げかけることはないかだ。5月28日のスコットランドのSunday  Herald紙の「rougue  DNA(はぐれ者DNA)」欄で、グリーンピース活動家が「業界も監視する側も、どんな遺伝子が入っているか分かっていないのが実体だ」と言っている。 3日後のガーディアン紙では「これの示すところは⋯⋯遺伝子組み換えは元来予測できないもので一旦環境に放たれたら将棋倒しのように色々なことが起きる。」としている。

明らかに、アメリカとカナダ政府とフックスは、これには同意しない。余分な配列はずっとラウンドアップ・レディ大豆にあったし、環境と健康のリスク評価は済んでいる。モンサント・シカゴの広報担当ジェフリー・バーゴウは「製品は、見直しがかけられたということが重要だ。」 反対派の活動家の懸念についてはどう思うかと問われて「他の人がどう言うかは自由だ」と答えた。フックスは「我々には、科学的回答があり、事実は事実だ」という。

トファーも挿入片は重大ではないという。「私はさして重大だとは思っていないし、大騒ぎするべきものでもない。遺伝子組み換えは(非組み換え植物でさえ起こる再生時の)突然変異であることはここ数十年分かっていることだし、意図的なランダム突然変異生成は変種を増やす一般的な育種技術ですよ。」

しかし、ジョージアのミーガーはより慎重だ。「何を発現するかは心配していないがそれよりも、むしろ何かを阻止するのではと懸念している。」 だとしたら挿入は害があったのか。 難しいところだ。ちょっと前まで農家の間ではラウンドアップ・レディ大豆は収量が伸びない、むしろ低い、その原因は分からないと噂だった。しかし、これも種子が何代か後には、また作付面積が増えれば解消して行くのかもしれない。  

 

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