バイテク・ライスに生産者が懸念

 

アッピール・デモクラット紙

 http://www.appeal-democrat.com

04年1月30日

チン・リー

訳 河田昌東

 

サクラメントのバイテク会社がサクラメント・バレーで大掛かりに遺伝子組換えライスを栽培するという問題の多い計画を立てたことに対し、コメ生産者らは「スターリンクが来る」と悲鳴をあげている。

 スターリンクは害虫を排除するためにアベンテイスというバイテク会社が開発した有名なGMコーンで、人間の食用には認可されていなかった。2000年にこのコーンが食品の流通チェーンに見つかり、数百品目のタコスやトルテイージャが合衆国内で回収された。

 カリフォルニアのコメ生産者らはコーンで起きたことがコメでも起こるのではないか、と恐れており、カリフォルニア・ライス委員会がカリフォルニアのコメ市場を保護するための対策をとるよう求めている。30以上のコメ生産者、コンサルタントと代表らが同委員会の作業委員会が開かれた木曜日(1月29日)にあつまり、同委員会がヴェントリア・バイオサイエンス社から出された申請草案の文書の3時間以上にわたる検討を見守った。同社は医薬品用タンパク質を作る商業用のコメを栽培したい、としている。

 12ページの草案にはヴェントリア社が、同社の薬用ライスが如何にしてスターリンク事件を繰り返さないようにするか、という詳細なガイドラインが示されている。しかし、このセッションは答よりも多くの疑問をさらけ出した。

 ヴェントリア社はGMライスを生産し、それからラクトフェリンとリゾチームを抽出する計画である。これらのタンパク質は母乳にも含まれ、感染症予防や抗炎症剤となり鉄と結合する性質がある。ヴェントリア社はこのコメが人間の食用としても安全だというが、食用にはしない、という。だから同社は食用コメの圃場とは距離をとる手順について同委員会と協議している。

 生産者はヴェントリア社のコメが彼らの畑に逃げていって彼らの生産物が汚染し、現在の表示法では販売できなくなってしまうことを恐れている。 ブッテ郡の有機ライス生産者、ブリス・ルンドバーグはヴェントリア社の出した申請書草案に不満で、「これでは、法的に要求される汚染ゼロ基準から、カリフォルニアのコメ産業を適切に保護することは出来ない」という。

 昨年11月に、ヴェントリア社はFDA(連邦食品医薬品局)に対し、プレマーケット・バイテク申請書を出し、現在同局による安全性審査を待っている。 ヴェントリア社の栽培責任者スタシー・ロバーツはFDAが何時審査を終わるかは特定できないが、「状況は悪くないと考えている。商業生産の期待通りことは運んでいると信じている」と言った。「我々はFDAがもうじき認可する作物で医薬品を作る準備をしている」と彼女は言った。

 同社はこのコメを食用にするという認可をFDAに求めていないので、「FDAは食品としての公差を設定しないだろう。しかし、それは食品のなかにあるし安全なのだ。」と彼女は言った。

 カリフォルニア・ライス委員会がこの申請に懸念を抱いているのは昆虫による媒介で食用ライスの汚染が起こるかもしれないということで、「蜂のいないゾーン(bee-free zone)」を設定する提案をしているが、これは問題ないとロバーツは言った。彼女はすでに提案の中で述べられている緩衝帯について述べ、コメは自家受粉性植物なので偶発的な昆虫による受粉のリスクは少ない、と指摘している。同委員会も薬用ライスの伝搬距離を制限し、これがうかつに広がるのを防ぐようにすることを示唆している。 「我々は花粉の伝搬のリスクを最も少なくすることが大切だということを深く理解している」と彼女は言った。

 カリフォルニア・ライス委員会委員長のチム・ジョンソンは、この申請書草案を更に科学的な専門家チームの審査にかける、といった。同委員会はそれから専門家チームの見解を見直し、次の会合の時期を決めるだろう。「我々はわけ分からずに急ぐようなことはしない。しかし、私はこれらの問題に答えを出しこの計画を発展させることができるだろうと楽観している」と彼は言った。

 

アッピール・デモクラット紙のChing Lee記者にコンタクト可能

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