シカの筋肉は病原性プリオンの感染源か
http://www.planetark.org/avantgo/dailynewsstory.cfm?newsid=34677
ロイター・ニュース・サービス2006より
ニューヨーク発
訳 小森冬彦
狂牛病と関連性がある野生のシカの病気の一種、すなわち慢性消耗病(CWD)を発症したシカの骨格筋には感染性があり、そのような骨格筋を介して病原性のプリオンが広まる可能性のあることが動物実験の知見から示唆されている。
CWDが人間に移るかどうかはまだ明確になっていないが、「もし人間に移るなら、CWDに感染したシカの肉を触るだけでも危険だと考えられる」と、ケンタッキー大学レキシントン校のグレン・C・テリング博士と共同研究者達はサイエンス誌の中で警告している。
研究者達はCWDに冒されたミュールジカの骨格筋と脳の抽出物を実験用マウスの脳に注射した。
予想どおり脳の抽出物は確実にマウスに海綿状脳症を発症させたが、それだけではなかった。脳抽出物の場合より潜伏期間がかなり長いとはいえ、全ての骨格筋の抽出物によっても進行性の神経機能障害がマウスに発現したのだ。
こうした結果から「人が食べることもありうるシカの筋肉はプリオン病の感染源として無視できない存在である。CWDに冒されたシカの肉を食べたり触れたりしている人は結果として異常プリオンを口にしている危険性がある」と、研究者達はサイエンス誌で述べている。
出典:サイエンス 2006年1月26日
記事:2006年 1月27日