ほ乳類のタンパクが混入したことにより、牧牛用飼料を製品回収
http://www.ens-newswire.com/ens/aug2006/2006-08-10-09.asp#anchor2
環境ニュースサービス(ENS)より
訳 小森冬彦
ワシントンDC、2006年8月10日(ENS)――米国食品医薬品局(FDA)は2件の製品回収事例を発表した。1件はミシガン州で生産された2700万ポンド(約1.2万トン)の牧牛用の飼料である。もう1件の事例はケンタッキー州で生産された飼料で、生産量は不明だが、回収の理由は、狂牛病の原因となる感染性物質を秘めているかもしれないほ乳動物のタンパクが飼料中に含まれていることだ。
ヴァイタ・プラス・コーポレーションのゲージタウン事業所(ミシガン州)は、2005年2月から2006年6月16日までに生産された27,694,240ポンドの乳牛用飼料を製品回収した。回収の理由は、ほ乳動物由来のタンパクが混入したと考えられたからだ。この飼料はミシガン州内で流通したが、最新のFDAの週次執行報告によれば、回収は終了しているとのことである。
バークマン・フィーズ・LLCのグラスゴー事業所(ケンタッキー州)は、量が明確ではない特注飼料を製品回収した。回収の理由は、この特注飼料がプロ・ラクと呼ばれる原料を含み、このプロ・ラクに反芻動物由来の肉骨粉が含まれている可能性があるからだ。
バークマン・フィーズはプロ・ラクを含んだ製品について、ミルクの生産量を最高度に引き上げる目的で乳牛に与える"さまざまな海洋生物と動物が原料のバイパス栄養補給成分"であるとしている。バークマン社の飼料はケンタッキー州内で流通していた。
回収された飼料はどちらも反芻動物または乳動物のタンパクが混ざってしまった疑いがあり、特に2件目の回収事例では反芻動物の肉骨粉の混入が疑われている。
反芻動物またはほ乳動物由来のタンパクを、反芻動物である牛に、あるいはその他の、食物を胃から口へ戻して噛む動物に餌として与えることは、米国では1997年以来禁じられている。この禁止措置は、正式名を牛海綿状脳症(BSE)として知られる狂牛病のまん延を抑える目的で義務づけられた。
もともと草食性である牛は、哺乳動物のタンパクなど、人間が餌に入れない限り食べはしない。
狂牛病及びそのヒト型の病気である変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)のような伝達性海綿状脳症(TSE)は、プリオン―動物の神経組織に普通に見られる構成成分が異常な形に変化したタンパク―によってまん延する。FDAの食品安全・応用栄養センターによれば、プリオンは細胞性微生物でもなければウイルスでもない。
例えば病気の牛の神経組織を含む肉骨粉のような、プリオンで汚染した餌を食べることで、狂牛病は一頭の牛から他の牛へと広がっていく。
ヒト型のTSEの場合は、BSEに汚染した肉を食べるか、あるいは輸血を受けた場合に、病気を移される可能性がある。
注1)「バイパス栄養補給」とは、牛の胃で消化されずに(すなわち胃をバイパスして)腸へ届かせるように設計した、アミノ酸やタンパクを強化した配合飼料の給餌を指す。
参考:
注2)プロ・ラク(Pro-Lak)の製造元のサイトは以下のURL。Pro-Lakに使用の肉骨粉はブタ由来であることが示されている。この製造元は他に鶏の飼料(Pro-Pak)も製造している。
http://www.bakerbro.com/feed_products.htm