カナダ農民がGM作物に拒否反応
2003年7月11日
ファーマーズ・ガーディアン
アリステア・ドライバー、ディビッド・バロー
訳 山田勝巳
カナダのGM作物を栽培した農民が英国農民に対し恩恵よりも失うものが大きいと自らに経験から警告している。今週経験を分かち合うために英国を訪問しているカナダの農民達は、7年間栽培してきたGM作物は約束した恩恵が無い上、予期せぬ問題が起きているためGM技術に背を向けている。
1996年に取り入れたGM作物は、収量は増やさなかったし、投入コストも下げなかった。そして、GM作物は除草剤耐性のあるスーパー雑草を作り出してしまったり、こぼれダネ作物の問題で農薬の使用量が増えているケースもある。在来作物との交雑問題も起き、GM作物によってカナダ農産物の国際市場がなくなった上農民が、バイテク企業の支配下におかれるようになったとファーマーズ・ガーディアンに3名の農民が答えている。
一時1400万エーカーで作られていたGM除草剤耐性菜種も今は900万エーカーの落ちており、「新興宗教」に興ざめしてきている農民が増えていると約7000軒の小農や家族農家を組織するカナダ農民組合のスチュアート・ウェル代表はいう。この姿勢の変わりようは、モンサントのGM小麦導入に対するカナダ小麦委員会の強い反対などにも現れている。
サスカチェワンで3,000エーカーの農場を持つライル・ライトは、1996年に除草剤耐性菜種を栽培し始めた。最大の魅力は「残留性」のある除草剤の代わりに雑草を「焼き殺す」モンサントのラウンドアップ除草剤だった。収量が上がり投入コストが下がるという文言も魅力だった。
2年後にGM菜種を諦めた。「結局モンサントへの使用料15ポンド/エーカーを計算に入れると収量やコスト削減も相殺されることが分かった。自分が種を残していないかモンサントがいつでもきて調査出来るという契約も気に入らなかった。それに、何か起こったときの責任も心配になった。」と語る。GM作物が農家に持ち込まれたとき交雑は問題にされていなかった。しかし、カナダでの調査では、100mの緩衝距離がばかばかしくなるほどGM作物と野生植物の交雑が酷いことが分かったと話す。隣の作物を汚染することがライトさんが止めた最大の原因だった。
ウェイン・アモス・ビッグ・ドッグ農場は、純粋な種を生産している。彼は、GM菜種を在来菜種やその他の作物といっしょに作り始めたが今は止めたいと思っている。収量が上がらずコストも下がらないだけでなく、ラウンドアップに耐性のあるこぼれダネが新たな問題になっているのだ。
これを退治するためにもう使いたくないと持っていた別の農薬を撒かなければならなかった。こぼれダネだけではなくラウンドアップに耐性が出来た「スーパー雑草」もカナダ全土に広がっている。「私がGM作物を検討しているイギリスの農家の皆さんにいえるのは、2-3年後に起こることも考えてほしいということです。」と話す。
ウェルズさんは、有機農家でGM作物を作ったことはないが隣接農家からのGM汚染の恐れがあるため菜種は作れないだろうと考えている。GMの唯一の利点は大規模耕作が容易になることでイギリス農民は問題点を全て良く議論すべきで高収量、高収益というデマカセに騙されてはいけないと話す。
カナダ農民を招聘したイギリスの小農・家族農場協会のマイケル・ハートは「GM作物は北米で上手くいっていないのに、英国農民にも上手くいくとはもっと考えられない。」と話す。