カナダ、98年生まれの牛にBSE 問われるフィードバンの有効性
05.1.12
カナダ・アルバータ州で3頭目のBSE牛が確認された。カナダ食品検査局(CFIA)の11日の発表(NEW
CASE OF BSE DETECTED)によると、この牛は98年3月生まれ、6歳7ヵ月の肉用牛で、出生農場も確認された。これまでの2頭と異なり、フィードバン(牛の飼料に哺乳動物蛋白質を利用することを禁止)以後の生まれである。フィードバンの有効性がまともに問われることになる。
しかし、CFIAはあくまで強気である。フィードバン以前かその少し後に生まれた牛に少数のBSEが発見されることは予想の範囲、「カナダ政府は、引き続き、1997年に導入された反芻動物→反芻動物のフィードバンがBSE拡散を制限してきたし、依然として有効であると信じる」と言う。だが、アンディ・ミッチェル農相は、オッタワでのテレビ記者会見で、現在のフィードバンの「無欠性」を信じているが、「カナダ人及びその他の人々にそれを実証して見せることが重要だ。CFIAに対し、フィードバンの強固さをカナダ人と世界にはっきりと示すために、関係第三国の専門家がかかわるフィードバン監督のレビューを行うように求める」と述べた(Klein
urges farmers to follow rules after new BSE case emerges,Globe and Mail,1.11)。
とはいえ、このレビューが農相の期待に応えるとは限らない。03年5月の国産牛初のBSE確認後に行われた国際専門家監視チームの調査は、既に動物飼料からの特定危険部位(SRM)の排除や交差汚染防止措置の徹底を勧告している(カナダ:専門家報告書、BSE存在のリスク確認、危険部位排除勧告,03.6.30)。だが、米国と同様、豚・鶏飼料やペットフードからは未だにSRMが排除されていないし、最近では、多数の農場で豚・鶏飼料が牛に与えられていた事実(カナダ農相、豚・鶏飼料への特定危険部位使用の早急な禁止を表明,04.9.5)や牛の植物性飼料の60%が動物蛋白質を含んでいるという事実(カナダ、植物飼料の60%が動物蛋白汚染、輸入飼料検査が不可欠,04.12.22)も暴露されている。レビューはフィードバンが穴だらけであることを世界に示すことになるかもしれない。
他方、米国農務省(USDA)動植物保健検査局(APHIS)のディヘイブン博士は、2日の2頭目確認のときと全く同様、「カナダがBSE防止のために設けている動物と人間の保健措置は、既存の米国国内セーフガード措置と併せて、米国の消費者と家畜に最高の保護を提供すると確信している」と述べた(Statement
By Dr. Ron DeHaven, Administrator, Animal and Plant Health Inspection Service )。だが、この牛がフィードバンから少し後の生まれであったことから、また最近の2頭の感染牛の間にあり得る関連性(CFIAは全く無関係と主張している)を決定するために、これらのケースを取り巻く状況を評価する技術チームをカナダに派遣するという。場合によっては、一旦決めたカナダ産生牛等の輸入解禁を取り消すことになるかもしれない。
だが、フィードバンの実効性に関しては米国もカナダと違わない。カナダのフィードバンの有効性に疑いが出れば、自国のフィードバンの有効性も疑わざるを得なくなる。米国産牛にBSEは発見されていないという唯一の言い訳を死守することになるのだろう。