カリフォルニア大学で有機農業を教える
ザ・トルビューン(カリフォルニア・サンルイス・オビスポ)
2002年5月29日
フレデイー・ヤップ
訳 河田昌東
カリフォルニア大学ポリテク(科学技術学校)の農場では「化学肥料」はダーテイーな言葉である。「近代農業は省力化と便利さを進めたが、同時に環境の犠牲を払った」というのは学生のビクトル・コワレンコだ。同農場では、ジョン・フィリップス教授の指導に従い、化学農薬の変わりにガーリック・スプレーが使われている。キャンパスで作った堆肥が化学肥料の代わりに使われている。キャンパスの農場は二つの区画からなり1995年以来9倍に拡大され2.6エーカーに広がっている。しかし、そのうち一エーカーだけがカリフォルニア有機認証企業グループによって認定された有機農業にあてられている。残りは、有機栽培はされているが、有機に転換してから1年しか経たないので、有機認定には2年不足である。
この農場は学生による生産・販売プログラムの基本になっていて、そこではレストランや食品店、個人が22週間の1シーズンの間、毎週1箱ずつの有機野菜と地域で採れた生産物を受け取ることが出来る。
「有機認証」を維持するために学生たちは病害虫と戦うために天然の武器を利用し、栽培戦略を使う。 特定の作物を襲う害虫による被害を防ぐために様々な作物が混植されている。植物に病害虫への抵抗力を持たせるために、堆肥などの有機肥料は大学自身が飼っている牛糞や魚粉を使う。 根きり虫を殺すために化学農薬の代わりに細菌の抽出物を使う。えんどう豆のような緑の豆科の植物は冬の間に緑肥として栽培される。繁殖期のピークを過ぎると刈り取る前に数ヶ月間放置される。これで豆科植物が大気中から採りこんだ窒素が土壌に吸収され肥料となる。「あなた方が汚いと思っているのは生き物です」とコワレンコは言う。 彼は4年前まではカリフォルニア州レデイングの有機農場の共同所有者だった。「化学肥料は土壌の化学的、栄養学的環境を壊し、細菌バランスを崩す。自然は誰よりもうまくやっている」と彼は言う。
授業の一部分として学生達は耕し、作物を収穫し、それを販売する。昨年、この農場では推定6.5トンの農産物を生産したとフィリップ教授は言う。収穫物の4分の3は予約申し込みプログラムに組み込まれ、現在3年目に入っている。残りは約束どおりキャンパスのマーケットといくつかのレストラン、食料品店に供給され、学生達が連絡をとり配達をする。学生達はまたサン・ルイス・オビスポの農業マーケットで生産物を販売する。
生産物予約プログラムの申込者達は22週間分の365ドルを支払い、毎週フルーツやスーパーマーケットではめったに見ない有機栽培の野菜を受け取る。多くの申込者は家庭で料理を作る人々である。配達用の箱は縦18インチ、横1フィート、深さ1フィートで、4人家族が1週間食べる量をまかなえる。生産物は収穫時期によって毎週違うが、ブランデイー・ワイン・トマトからレモン・キューリまである。「申込者には利益と落とし穴が待っている」とコワレンコは言う。「農業は全く予想がつかないからね」2000年にこのプログラムが始まった時、利用者は25人しかいなかったが、すぐにあと25人が待機リストに入った。今年は50人の利用者を見こんでいる。