豚の不妊問題に遺伝子組換えコーンが関係
有機消費者協会
03年1月23日
アイオワ州デス・モイネス発
訳 河田昌東
農民団体と環境グループは今日、アメリカ農務省が省内の研究者の一人が豚に悪影響があるかもしれないと言ったコーンを販売した証拠を明らかにした。このグループは疑わしいコーンは動物の飼料や食品に使うのをやめるべきだとの懸念を表明した。
アイオワ農民協会(IFU)と地球の友(FoE)はコモデイテイーズ・クレジット・コーポレーションが農務省農業サービス局(FSA)に代わって、950ブッシェルのコーンを売りに出し、1月9日にアイオワ州のポーツマスの穀物・飼料会社GアンドR社に売却した領収書のコピーを入手した。
このコーンは、農務省の研究者達がアイオワ州で擬似妊娠と呼ばれる繁殖障害をもたらした可能性があると疑っていたものである。 これらのアイオワの豚は完全な妊娠の兆候を示したにもかかわらず出産しなかった。昨年秋にだした農務省への手紙の中で、地球の友はアン・ベネマン農務長官に対し、このコーンを全て回収し科学的検査をして未解決の繁殖障害問題の原因がわかるまでは市場に出さないようにすべきだ、とアッピールした。農務省はこれに10月29日「科学者達が今このコーンが豚の繁殖障害に関係ある新たな毒素を含んでいるかどうか試験中だ」と回答した。しかし、同省はまだ分析を完了していない。
「アン・ベネマン農務長官は何故豚やその他の動物に有害かどうか科学的調査が終わらないうちにこのコーンを飼料会社に売るのを許可したのか。我々はアイオワの豚の繁殖障害を排除するために正しい科学的研究を求めている。何人もの養豚農家がこの問題は仕事をやめるかどうか迫られる最後の嵐になるだろう、と我々に話した。」とIFUのクリス・ピーターソンは言った。
IFUと地球の友は今日、アン・ベネマン農務長官とFSAのデス・モナス事務所に手紙を出し、すでに売却された950ブッシェルの問題のコーンを飼料や食品に使わないよう申し入れ、安全性に答えが出るまではこのコーンをこれ以上売らないように要請した。
2002年8月に、農務省の農業研究サービスのリーダー研究者が「この問題の原因の一つの可能性は、コーンの中に予期しない生物活性のある化学物質があるのかもしれない。動物の繁殖の研究、特に豚に関する研究はかなり大量の問題のコーンを使わなければならない。」と書いている。アイオワ州立大学の研究者達はステートメントを発表し、遺伝子組換えBtコーンは多くの地域農家が経験した豚の繁殖障害の原因ではない」と述べたが、他の何らかの原因がこの問題に関係しているかどうかについては結論を述べなかった。
法的な行方がわからないまま、農務省はこのコーンをFSAを通じて入手し22000ブッシェル管理している。
このコーンはアイオワ州のハーランにあるローリング・R・農場で2001年に収穫されたものの一部である。これは同農場の操業の借金の担保として利用された。
ワシントンの農務省当局はこのコーンを食用と飼料用に売らないように指示した。FSAは2002年の終わりにこれをエタノール製造用に売却しようと試みたが、地域のアルコール製造業者トール・コーン・エタノール社に断られた。エタノールの副産物のグルテンは動物飼料と人の食用に使われるので、このコーンに絡む問題が食品チェーンの入り込む心配があったからである。
現在、FSAはこのコーンの一部を動物飼料会社に売却し、輸出市場向けの貨車に積み込まれている。地球の友のラリー・ボーレンは「農家の運命と我々の健康、環境に影響を与える謎の問題があるときに、USDAがやったようなどさくさで問題を払拭してしまうようなやり方でなく(確かな)答えが必要なんだ」と言った。