ブッシュ派は議会で貿易関連法案に即決権を握る

 

ウォルター・ラッセル・ミード

ニューヨークタイムス 

02年8月5日

訳 山田勝巳

 

ブッシュ政権が喉から手が出るほど切望していた貿易促進の強い権限が、先週上院と下院で承認された。この結果今後2007年までの貿易交渉で議会は法案修正ができず承認又は否認だけとなり、ブッシュ政権の交渉力を大幅に拡大したことになる。

 

この法案は大統領が希望していたもの全てを事実上与えることになった。貿易批判派は、アメリカの反ダンピング法を脅かしかねない合意に対し、議会が拒否権を持つことを認めるはずだった修正案を取り下げた。自由貿易によって、アメリカの労働者が不利にならないように保護を規定していた条項が共和党の方針にあわせて削除された。貿易推進法の成立は、最近好転しているEUとの交渉に有利になる。 米国通商代表ロバート・ゼリックとEU交渉担当パスカル・ラミィは、ブッシュ大統領が発動した3/20の鉄鋼輸入制限に怒るヨーロッパとの論議を押さえ込むのに必死だった。 

これまでの所EUは、報復処置を断行することをなんとか抑えてきており、貿易促進法の通過で大西洋間の貿易戦争の可能性は低くなった。

 

今のところ貿易の新政策は最悪の経済危機に見舞われているラテンアメリカにとって重要だ。アルゼンチンとブラジルが経済混乱に陥っており、ベネズエラでは暴動、コロンビアが戦争、ボリビアでは政治不信、エクアドルとペルー、ウルグアイ、パラグアイがブラジルとアルゼンチンの経済混乱に巻き込まれる状況で、ブッシュ政権は極めて大きな課題を抱えている。

 

 

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