ブラジル大統領選におけるルラ候補の勝利はモンサントへの一撃
ルラ政権は非GMブラジルを推進するだろう
2002年10月3日(ロイター)
ブラジル・サンパウロ発
リース・イヴィング
訳 河田昌東
もし、ルイズ・イグナチオ・ルラが今月のブラジル大統領選で勝てば、ブラジルは遺伝子組換え作物の禁止を続行するだろう、とモンサントなどバイテク企業は予想している(訳注:ルラはその後大統領になった)。 ルラの農業政策アドバイザー、ホセ・グラチアーノは「我々はGMフリーの評判を確立したいと願っている。 我々はアメリカやアルゼンチンなどの競争相手がGMを栽培しているので、特別な市場でプレミアム価格が得られる。」と真顔でいったと伝えられる。
この話が意味するのは、ブラジルがGMフリーであることを売りにするのがルラ政権の農業政策の一つであることだ。即ち、農産物に付加価値がつき、海外市場での貿易で利益が得られると期待しているのである。
左翼労働党のルラは今週日曜日の第一回投票の3日前に行われた世論調査で他の候補をはるかに引き離している。労働党は最近過激な小農や田舎の土地をもたない労働者と距離をおいてはいるが、それでも依然として政治基盤を地方に置いており、小農にとっては有害だとしてGM作物に強く反対している。このブラジルという農業の巨人は、強力な除草剤グリフォサートでも生き残る大豆や天然の害虫防除物質を分泌するコーンといった遺伝子組換え作物の潜在的な市場は、バイテク部門にとって垂涎の的である。
しかしながら、モンサントと現政権は過去4年間ブラジルのGM販売禁止を廃止することが出来なかった。消費者と環境保護団体が、コスト削減をしたい大部分の農家のバイテク賛成にも関わらず、地方裁判所でこうしたGM作物の商業利用を止める事に成功してきたからある。ブラジル種子生産者協会のアブラセムによれば、このGM禁止で産業がだめになり、農家が海外との厳しい競争に立たされた結果、コスト削減と収量増加を約束するこの技術をブラックマーケットで買うようになった。
法律で在来種の大豆種子しか売ることが出来ない政府に登録された種子生産者は、取引が下落しているのを黙って見ているだけだ、という。ブラジル南部の大豆生産ではNo2、No3の州の過半数が、GMの栽培も販売も広く行われているアルゼンチンから密輸された違法なGM種子を栽培していると信じられている、とアブラセムはいった。