BSE対策をめぐる最近の議論と変異型CJDキャリアーの問題
医学書院で発行している雑誌「公衆衛生」11月号に「わが国のBSE対策への提言」という原稿を書きました。その最後の部分で輸血による変異型CJDの伝播の問題にも触れました。この原稿を書いたのは8月初めでしたが、その後、この問題への関心が高まってきています。
そこで、医学書院の了解を得て、まず、公衆衛生の記事全文を転載し、つぎに変異型CJDキャリアーに関する最近の状況を補足したいと思います。
1. わが国のBSE対策への提言
2001年9月にBSEの発生が確認されてから約1年が経った。これまでに総合的なBSE
対策が実施され、食の安全に関する消費者の信頼は回復してきた。しかし、BSE対策の科学的基礎となるべきBSEの発病機構、診断法、ヒトへの感染にかかわる要因など、不明な点が多く残っている。本稿では、筆者に与えられた課題の「提言」というより、BSE対策をめぐる最近の議論について科学的な面からの私見を述べてみることにしたい。
プリオン病をめぐる名称の混乱
BSEは海綿状変性を特徴とするウシの中枢神経系の変性疾患である。同じグループに属する病気としてヒトのクロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)、ヒツジのスクレイピーなどがあり、これらの病原体はかってはスローウイルスと呼ばれていたが、現在では通常の微生物とは異なり、蛋白のみから成るプリオンと考えられている。そこで、これらの病気はプリオン病と総称されるようになった。
一方、プリオン説に反対する意見も残っているため、国際機関での正式名称は伝達性海綿状脳症になっている。すなわち、病原体の名称にもとづくプリオン病と病態にもとづく伝達性海綿状脳症という2つの名称が同義語として用いられている。
プリオンはウイルスや細菌と同様に病原体の種類を示す用語であって、その本体は染色体に存在するプリオン蛋白遺伝子が産生する正常プリオン蛋白の立体構造が異常化した異常プリオン蛋白と考えられている。一般に異常プリオン、正常プリオンという呼び名がマスコミ主導で普及してしまったが、これは上述の説明で明らかなように間違っている。
しかも、この名称の方が正式と考えられるようになってしまい、学術雑誌などでもこの名称をしばしば見かける。筆者が正しい表記を用いた解説をホームページにのせたところ、読者から間違った表現を用いるべきではないとの指摘を受けたことがある。そのうちに、試験問題の解答でも正しい表現を用いた場合に間違いと判定される事態が起こるおそれもある。
日本で最初のBSEが発見された際、狂牛病の名称が誤った印象を多くの人々に与え、社会混乱の原因のひとつになった。現在ではマスコミでもBSEの名称が普及したが、今度は学術用語の面で混乱が起きている。
BSEのもたらすリスク
BSEはウシの感染症としてウシに健康被害を及ぼす。さらに食肉を介してヒトに感染を起こして変異型CJDを起こすという、人獣共通感染症としてのリスクを抱える。それに加えて変異型CJD患者から輸血、臓器移植、外科手術、内視鏡などを介するヒトの間での伝播のリスクが問題になっている。すなわち、BSEのリスクにはウシの間での伝播、ウシからヒトへの伝播、ヒトの間での伝播という3つの側面がある。この点は通常の食品のリスクとはまったく異なることを認識しなければならない。
ウシの間での伝播防止
BSEはウシの間で餌として与えられた肉骨粉を介して経口感染で広がった。ウシの間での水平感染は、感染動物の体液や排泄物に感染性が検出されないことと野外での疫学所見から、起きていないと考えられる。母子感染についても、感染実験の結果や疫学所見からその可能性はきわめて低いと考えられている。したがって、餌として肉骨粉を与えなければウシの間での伝播は阻止できるはずである。実際に、英国で1988年にウシに対する肉骨粉の使用禁止を行った結果、BSE発生は平均潜伏期の5年後に相当する1993年をピークに激減してきている。
しかし、1996年まで肉骨粉の使用はブタとニワトリに対しては禁止されていなかったため、1989年以後に生まれたウシでのBSE発生は続き、その数は約52000頭となった。これは総数18万頭あまりのBSEの約30%を占める。これらはブタやニワトリ用の肉骨粉がウシの餌に混入した交差汚染によるものと考えられている。
日本のBSEでは7例について詳細な疫学調査が行われ、その報告書の中でこれらのウシに肉骨粉が与えられていた証拠はなく、ウシの餌に混入した肉骨粉、すなわち交差汚染が原因と推測している。
ウシの間でのBSEまん延防止はBSE対策の基本である。英国でウシへの最小感染量を調べる実験が行われており、その中間成績によれば、BSEウシ脳1 mgでも実験的に感染が成立することが確認されている(1)。餌の交差汚染の防止がきわめて難しい点を認識してリスク管理を行わなければならない。
ウシからヒトへの感染防止
これがBSE対策のもっとも重要な面であり、食の安全確保に直接かかわるものである。WHOおよびEU科学運営委員会は、消費者の健康を守るための最善の対策はBSE感染ウシをヒトの食物連鎖に回さないことが原則であると結論している。日本でもその目的で屠畜にまわされるウシのすべてについてBSE検査、いわゆる全頭検査が行われている。しかし、現在のBSE検査法では潜伏期の後期にならないと感染は検出できないため、その間における安全対策として特定危険部位(SRM)の除去によりリスク低減がはかられている。すなわち、全頭検査とSRMの除去という二重の安全対策が日本でのBSE安全対策の基本である。
ここで問題になるのはBSE検査で用いられている迅速検査キットはすべての感染ウシを検出するものでない点である。しかし、これはBSEに限ったものではない。通常の微生物感染でも抗体が上昇するまで、または病原体が一定レベルに達するまでは、感染は検出できない。その代表的例として輸血用の血液の場合、B型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスの検査はかっては感染後約2ヶ月経たないと陽性にならなかった。最近ではPCRによる核酸増幅法で検査が行われるようになってきたが、それでも1ヶ月間はウインドウ・ピリオドと呼ばれる検出不可能な時期がある。BSEの場合、その時期のリスクをSRM除去で低減している点を認識しなければならない。
感染ウシすべてを検出できないBSE検査は無駄であり、ヒトの健康保護には確実なSRM除去で十分という議論も聞かれる。しかし、確実なSRM除去は果たして可能であろうか。英国での感染実験の成績から、現在SRMに指定されている脳、脊髄、背根神経節、回腸遠位部などを除去することで99%近くの感染性は排除されると推定されている。しかし、以下に述べるように、SRM除去以前の屠畜段階でのスタンニング(気絶法)、ピッシング(脊髄破壊法)、背割りの際にSRMが食肉に混入することによるリスクも考慮しなければならない。
スタンニングによるリスクは、スタンガンなどで神経組織が破壊されて血液中に塞栓を形成し、放血が始まる前の数十秒の間に血液を介して心臓、肺、さらに食肉部分に運ばれる可能性である。スタンニングは主に空気注入法またはスタンガンで行われるが、神経組織固有のマーカー蛋白を用いた実験により、空気注入法がもっともリスクが高く、ついでスタンガンとピッシングの併用、スタンガンの順にリスクが低くなるとされている(2,
3)。最近では、マーカー細菌としてPseudomonas fluorescensを用いた実験で、スタンガンのみでも食肉の多くの部分に広くマーカー細菌が広がることが報告されている(4)。この成績は、とくにBSE検査で陽性になるレベルにまでBSEプリオンが蓄積している場合には、スタンニングによりヒトへの感染を起こしうる量のBSEプリオンが食肉に混入する可能性を示唆したものである。このリスクはSRM除去のみでは除くことはできない。BSE検査により陽性のウシをすべて食用から排除することは、この面でも重要である。
日本での安全対策を振り返る
日本で2001年10月に全頭検査が開始された際に、SRMとして指定されたのは脳、脊髄、眼、回腸遠位部であった。背根神経節は指定されていなかった。英国での発病機構の実験成績とそれにもとづくEU科学運営委員会のリスク評価により脳、脊髄、三叉神経節、背根神経節はほぼ同程度のBSEプリオンを含むものと推定されている。三叉神経節は頭部にあるため、現実には脳と一緒に焼却されるので、問題はない。一方、背根神経節に関しては、OIEの国際動物衛生規約では日本のようなBSE低発生国については、背根神経節が含まれる脊柱の除去が要求されていなかったため、日本では背根神経節はSRMに指定されなかった。専門家はリスク低減のためにこれも除去すべきものと考えていたが、厚生省側は実施困難との意見であった。2002年にOIEが脊柱をSRMのリストに加えてことを受けて2003年に食品からの脊柱の除去が検討された。
この議論の際に明らかになった点は、SRMはBSE対策特別措置法により屠畜場で除去するものと定められているため、食肉処理場で除去される脊柱はSRMには指定できないこと、また、屠畜場は厚生労働省食品安全部の監視安全課、食肉処理場は同じ部内の基準審査課と所管が異なることである。それまでBSE対策を検討していたBSE専門家会議は監視安全課に設置されていたが、脊柱の除去については、基準審査課に伝達性海綿状脳症対策部会が設置され、そこで議論され、最終的には食品安全委員会でのリスク評価を経て2004年2月に脊柱の除去が施行された。
背割りについては、2001年10月の時点ではリスク低減措置としての背割り前の脊髄除去は実施できなかったため、脊髄を傷つけないように注意し十分に洗浄するという対策でスタートした。ピッシングもなるべく止めるようにとの注意が通達されていたが、現実には作業員の安全確保のために、ピッシングは現在にいたるまで大部分の屠畜場で続けられている。
SRM除去に関しては、以上のように当初からいくつかの問題を抱えており、それらについて順次対策が強化されてきたのである。このSRM対策の不十分な面を全頭検査が補ってリスク低減に貢献してきていることを認識しなければならない。
全頭検査についての議論
屠畜場での迅速BSE検査キットによるスクリーニング検査について、厚生労働省ではBSE第1例の発生直後に、EUの方式にしたがって30カ月齢以上のウシすべてを対象とすることに決めた。しかし、消費者の信頼回復のために政治的判断で全月齢を対象とする全頭検査に変更され、2001年10月に実施された。
振り返ってみると、全月齢を対象としたことで、トレーサビリティ・システムが出来ていない状況での混乱を回避することができ、また、科学的成果として、21カ月と23カ月という若齢ウシでのBSEが見いだされ、とくに23ヶ月齢のウシはウエスタン・ブロットのバンドのパターンから非定型BSEとみなされた(5)。
一方、米国でのBSE発生により米国からの牛肉の輸入が停止されたのがきっかけとなって、全月齢を対象とする検査について検出限界以下の月齢についての検査は不要といった議論が始まった。しかし、月齢の線引きを考えるための科学的事実としては、以下のような断片的なものに限られている。
英国での成績では24カ月齢以下での発症例は0.006%以下(約177,500頭中10頭)、30カ月齢以下では0.05%(81頭)である。そのうちもっとも若いBSE例は20ヶ月齢である。この例について、European
Commissionの報告(3)では次のような議論を行っている。英国での感染実験では接種後32ヶ月目で脳に感染性が見いだされ、35ヶ月目に発症が見られている。そこで発症3ヶ月前にはBSE検査陽性になると仮定して、このウシの場合17ヶ月目にはBSE検査陽性になると推定される。一方、最悪のシナリオでは潜伏期の2/3の時期からBSE検査が陽性になるという意見があり、その考えにしたがえば13ヶ月齢で感染性が見いだされる可能性もあるということになる。逆に12ヶ月齢以下では脳に感染性が見いだされることはきわめて考えにくいということになる。
日本では前述のように、21ヶ月と23ヶ月齢の若いウシでBSE例が確認された。これら両方の例とも延髄で見いだされた異常プリオン蛋白の量は、ウエスタン・ブロットのバンドの濃度から、それまでに見いだされていたBSE例の1/1000程度と推定された。
EUでは30ヶ月齢以上についてBSE検査を実施している。そこで30ヶ月齢が国際的基準であるかのような意見もある。元来、30ヶ月という月齢が最初に決められたきっかけは、1996年に英国で変異型CJDが確認された際に、英国政府が消費者に対する安全対策として30ヶ月齢以上のすべてのウシの食用を禁止したことである。それまでの経験でBSE発症は3歳齢以上がほとんどあったこと、しかし、トレーサビリティ・システムがない状態で年齢を確認するには30ヶ月で永久歯が生えてくることから、30ヶ月に決められたのである。その後、感染実験の成績で接種32ヶ月後に初めて脳、脊髄に感染性が見いだされたこともこの決定が妥当であったとみなされた。
2001年にEUが屠畜場での30ヶ月齢以上のウシすべてを検査する方式を決めた際には、英国でのBSE例の99.9%以上が30ヶ月齢以上であることが根拠にされた。すなわち、発症例の年齢別頻度とトレーサビリティ・システムができていない状態を考慮した上での決定で、検出可能な時期についての検討は行われていない。
これらの背景を整理してみると、全頭検査についての議論では、例外的に見つかる若齢のBSEはSRM除去のみで十分とみなすか、それとも現在の検査法で検出できる月齢のものはすべて検査対象とするべきか、その選択が問われているものとみなせる。このようにきわめて限られた科学的事実にもとづくリスク評価には、消費者や生産者などの意向を十分に反映させる必要がある。
ヒトの間での輸血による変異型CJDの伝播
BSEのリスクはウシからヒトへの感染による変異型CJDの発症のみではない。一旦、ヒトに感染したBSEプリオンはウシの異常プリオン蛋白ではなくヒトの異常プリオン蛋白となり、種の壁のないヒトの間で容易に伝播される可能性がある。とくに変異型CJDではBSEウシの場合と異なり、扁桃、虫垂、脾臓などのリンパ組織で異常プリオン蛋白が検出される。2000年には変異型CJD発病の6ヶ月前にたまたま摘出されていた虫垂に異常プリオン蛋白が見いだされた(6)。この事実は潜伏期中に血液を介してほかのヒトに輸血などで変異型CJDを伝播する可能性を示すものとして血液の安全性に関する問題を提起した。それまで英国では安全対策として血液製剤の原料はBSEが発生していない国から輸入していたが、この事実が明らかになった際に、輸血用の血液では白血球を除去する方式が採用された。
この報告を受けて、英国では保存されていた虫垂と扁桃について異常プリオン蛋白の検査を実施してきている。その中間報告が2004年5月に発表され、調べた12、674個中の虫垂のうち、3個に異常プリオン蛋白が検出された。その結果、英国には3800名の潜伏期中の感染者が存在する可能性が推定された(7)。そこで英国政府は追加的措置として、1980年以後に輸血を受けた人が献血することを禁止した。なお、この成績は免疫組織化学検査によるものであったが、さらに高感度での検査として、凍結保存されている10万個の扁桃についてのウエスタン・ブロットによる検査が計画されている。
輸血による変異型CJD伝播が疑われるケースは現実に最近2例が見いだされた。第1例は1997年に輸血を受け6年後の2003年に変異型CJDで死亡した人である。この輸血に用いられた血液のドナーは1999に変異型CJDを発病して死亡していた。すなわち、発病2年前の潜伏期中の血液からの感染が疑われたのである(8)。第2例は変異型CJDではなく、動脈瘤破裂で2004年に死亡した人の脾臓で異常プリオン蛋白が見いだされたものである。この人は1999年に輸血を受けており、その際に用いられた血液は変異型CJD発病3年前のものであった。しかもこの人のプリオン遺伝子のコドン129は、それまでの変異型CJD例がすべてメチオニン/メチオニンであったのに対して、メチオニン/バリンであったため、これまでの変異型CJD発生予想に疑問が投げかけられている(9
)。
すでに日本では英国などヨーロッパのBSE発生国に通算6カ月以上滞在していた人からの献血は拒否するという予防原則にしたがった対策を講じている。現在実施されているウシからヒトへの感染防止対策を確実に行うことで、英国のような事態になることはきわめて考えにくい。
おわりに
日本でのBSE対策は、1970年代半ばに始まったスローウイルス感染研究の時代からの長い研究蓄積に支えられ、さらにEUにおける消費者の健康保護を目的とした広範囲のリスク評価を参考にして実施されてきた。一方で、BSEについての国民の関心は欧米諸国にはみられないきわめて高いものであり、BSE対策についての正しい認識も広く国民の間に普及してきている。
現在のウシの間での伝播防止対策、ウシからヒトへの感染防止対策は確実にBSEリスクの低減に貢献しているものとみなせる。しかし、新しい科学的事実はこれからも明らかになるはずであり、診断技術についても進展が期待される。今後もそれらの成果を取り入れてBSE対策の検証と改善を続けていくことが必要であろう。
文献
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