BSEは汚れた飼料容器の中に今でも潜んでいる

http://www.guardian.co.uk/bse/article/0,,1670551,00.html

 

ジェームズ・ミークル

2005年12月19日(月)

ガーディアン紙

訳 小森冬彦

 

政府の調査が示すところによると、農場経営者達は知らぬ間にBSEの病原体を牛に与え続けてきたようだ。

 

牛をBSE感染から守るための規則が導入されてから、飼料の貯蔵に使う大型容器を何年間も洗っていなかったことが問題の焦点だ。

 

そうした容器の表面にはBSEで死亡した牛由来の感染物質が、ごく微量ではあるが、おそらくこびりついたまま今日に至っている。このこびりついた感染物質が要因となって、BSEはなかなか収束しないまま20年以上にわたって農業に大損害をもたらし、汚染した肉製品を介して人を死なせたのだ。

 

政府はこのたび、飼料の容器は“日常的に、しかも徹底的に”洗わなくてはならないという見解を発表した。今年になって政府は、なぜ1996年8月の肉骨粉使用禁止措置後に生まれた牛の中に依然としてBSEによる死亡例が出るのか調査を実施し、その結果、禁止前からずっと飼料の貯蔵容器を洗っていない農家もあることが判明した。少しさかのぼった1988年、すなわち最初のBSEが発見された2年後に肉骨粉の使用は一度禁止されたのだが、この初期の禁止措置は決して厳しく監視されていたわけではなかった。

 

この最初の禁止措置は、海綿状脳症に感染した個体が含まれるかもしれない羊や牛の死体を餌として牛に与える習慣を止めさせるための措置だった。しかし政府も畜産業界も動物用飼料が交差汚染する危険性に配慮しなかったし、BSEに汚染した材料のわずかな残留に対しても、それが命取りになるとはまだ証明されていなかったので、十分な注意を払っていなかった。

 

BSEが他の国々にもまん延してしまってから、2001年に第三弾の一連の規制措置が全ヨーロッパで施行されている。

 

BSEの長い物語にまた新たな一章が今回加わったが、この感染症が実にしぶとく、それに負けまいとして科学が今なお苦闘していることを伝えるエピソードだと言える。

 

最近得られた長期実験の結果によると、BSEに感染した脳組織をわずか1ミリグラム与えた牛が数年後にBSEで死亡している。BSEに対する安全のための予防措置がいかに厳重でなくてはならないか、この実験結果からも明らかだ。

 

 

 

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