精肉会社が狂牛病の検査を求めて闘争を開始

http://www.nhk.or.jp/night/nextpgm.htm

http://www.cbsnews.com/stories/2006/03/22/ap/health/mainD8GGT1003.shtml

 

ワシントン発(AP)

2006年3月22日

訳 小森冬彦

 

カンサス州の精肉会社が、自社の肉牛に対してもれなく狂牛病の検査を実施すると言い出して、業界を巻き込む闘争を開始した。 クリークストーンファーム・プレミアムビーフ社は、自社で加工する全ての牛の狂牛病の有無を調べることを望んでいる。しかし農務省は、それは許可できないとしてきた。クリークストーン社は農務省との間で訴訟を起こす意向を表明している。

 

「我々の顧客、とりわけアジアの顧客は全頭検査をくりかえし要求してきています」と、代表取締役のジョン・スチュアートは水曜日のインタビューに応えて語った。「顧客が検査済みの牛肉を望んでいるなら、我々企業が顧客にそれを提供することは許可されてしかるべきだと、強く思います」

 

クリークストーン社はこの訴訟について説明する記者会見を木曜日にワシントンで開く予定だ。

 

農務省と大手精肉会社は、その方法で食品の安全性は保証できないとして、全頭検査に反対している。大部分の牛肉の原料である若い牛の場合、検査で病気はほとんど検知できないからだ。 「世界で全頭検査を要求している国はひとつもありません」と、水曜日に農務省スポークスマンのエド・ロイドは語っている。

 

大手精肉会社は、日本の買い手から費用のかさむ試験を強く要求されはしないかと、また、試験で疑わしい結果が一例でも出たら消費者が牛肉を食べることを敬遠するようになるかもしれないと、怖れている。 日本は米国産牛肉にとって、2003年に狂牛病の事例が初めて発生して禁輸措置がとられるまでは、最も利益をもたらす海外の取引先だった。スチュワート氏によれば、この禁輸措置によってクリークストーン社は売り上げの三分の一近くを失い、生産の大幅削減と従業員約150人の一時解雇を余儀なくされている。

 

昨年の暮れに日本が再び門戸を開いて、クリークストーン社は出荷を再開した。ところが背骨付きの米国産子牛カット肉が見つかって、日本は再び輸入中止の措置をとった。こうしたカット肉は米国内では食べられているが、日本への輸入は禁止されている。 「日本との貿易が再開したら、クリークストーン社は一時解雇した従業員を再雇用する用意がありますし、ある程度の増員もできると思います」とスチュワート氏は語っている。

 

カンサス州 アーカンサスシティーの工場で全頭検査をしようというクリークストーン社の計画実現には、政府の認可が必要だ。農務省は2004年にこの許可申請を却下している。 米国の関連当局は検査する頭数の規模を縮小しようと計画しつつも、これまで毎年屠殺される3千5百万頭の牛のうち約1%を検査してきた。 全頭検査を望む日本の輸入業者があるかもしれないが、日本政府が全頭検査を要求しているわけではない。

 

米国政府が、昨年末の輸出の過誤は偶発的な事例であったと説明する分厚い報告書を東京に送ってもなお、日本政府は輸入禁止の子牛肉の出荷について実に長々と質問を続けている。この報告書では、事件の責任はブルックリンに基盤を置くアトランッティック・ヴィール&ラム社と、日本向けに牛肉を販売する際の新ルールを理解していなかった政府の監査官にあるとしている。

 

日本の中川昭一農水省大臣は、さらなる話し合いが必要であると水曜日に語っている。 「米国政府とはまだまだこの問題についてやりとりをしたい。米国側には我々の質問にきちんと答えていただきたいと願っています」

 

米国ではこれまで狂牛病が3例見つかっている。1例目は2003年の12月にワシントン州で見つかり、これはカナダから輸入された牛だった。2例目は昨年6月に確認されたテキサス生まれの牛で、3例目はアラバマ州で先週確認された。 日本では2ダースものBSE牛が確認されている。

 

狂牛病は牛の消耗性脳疾患で、医学的には牛海綿状脳症すなわちBSEとして知られている。ヒトに関しては、BSEに汚染した肉製品を食べることは、世界で、とりわけイギリスで150人以上の死者を出したヒトの致死的神経疾患である変異型クロイツフェルト・ヤコブ病と結びついている。

 

クリークストーン社: http://www.creekstonefarmspremiumbeef.com/

米国農務省: http://www.usda.gov

 

 

 

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