国内23頭目の狂牛病確認 不自然な2000年生まれでの集中発生

農業情報研究所(WAPIC)

06.3.16

  3月15日、国内23例目となる狂牛病(BSE)のケースが確認された。この牛は2000年7月8日生まれで、68カ月齢のホルスタイン種(雌)の乳牛で、飼育地は北海道中川郡中川町だった。この牛は名寄市立食肉センターに持ち込まれ、今月十三日に上川保健福祉事務所名寄地域保健部の一次検査で陽性反応が出ていた。従って、無症状の健康な牛として食肉処理に出されたものということになる。

 農水省:http://www.maff.go.jp/www/press/cont2/20060315press_5b.pdf
 厚労省:http://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/03/h0315-1.html

 これにより、2000年生まれの狂牛病のケースは6頭となった。こうまで2000年生まれのケースが続くと非常な不自然さを感じる。03年に確認された01年、02年(肉骨粉全面禁止以後)生まれの2頭を除けば、残り21頭のうち13頭が95年末-96年生まれ、6頭が2000年生まれで、この間に生まれた牛で狂牛病が発見されたのは2頭にすぎない。

 

 この不連続性は何を意味するのだろうか。この間、95-06年生まれの牛の感染をもたらした感染源が消えてしまったのだろうか。そして、2000年になって新たな感染源が登場したのだろうか。しかし、これまでの飼料調査では、95-96年生まれの牛が与えられた飼料と2000年生まれの牛が与えられた飼料には、外見上、ほとんど変化はない。この間に生まれた牛には狂牛病が発見されていないだけなのだろうか。だとしれば、そうなる特別の事情があるのだろうか。謎は深まるばかりだ。

 なお、これを報じる多くの新聞が、この牛が一次検査で「擬陽性」だったとしているが、この用語法は明らかに間違いと思うので注意しておきたい。「擬陽性」とは、本当は陰性であるのに、検査に何らかの欠陥があったために陽性反応が出ることを意味する。従って、一次検査で陽性と出たが確認検査で陰性となった場合に初めて「擬陽性」だった言えるのであり、確認検査の前に「擬陽性」と言うのは明らかに間違いである。

これまでの狂牛病確認例一覧

 

最終確認年月日

確認例の出生・飼育県

出生年月と確認時の生後月齢

01.09.21

北海道常呂郡・千葉

96.03、66

01.11.21

北海道宗谷郡猿払村

96.04、67

01.12.02

群馬

96.08、68

02.05.12

北海道白糠郡音別町

96.03、71

02.08.23

神奈川

95.12、80

03.01.20

北海道川上郡・和歌山

96.02、81

03.01.23

北海道網走市

96.03、79

03.10.06*

栃木・福島

01.11、23

03.11.04**

兵庫・広島

02.02、21

10

04.02.22

神奈川

96.03、95

11

04.03.09***

北海道川上郡標茶町

96.04、95

12

04.06.13

熊本

99.03、62

13

04.09.23

奈良

96.02、103

14

04.10.14***

北海道河東郡鹿追町

00.10、48

15

05.02.26***

北海道中川郡本別町

96.08102

16

05.03.27

北海道天塩郡天塩町

96.03108

17

05.04.08

北海道河東郡音更町

00.0954

18

05.05.12

北海道砂川市

99.0868

19

05.06.02

北海道野付郡別海町

96.05109

20

05.06.06

北海道河東郡鹿追町

00.0857

21

05.12.10***

北海道千歳市

00.0259

22

06.01.23***

北海道野付郡別海町

00.0964

23

06.03.15

北海道中川郡中川町

00.0768

*非定型BSE、去勢雄ホルスタイン、**定型、去勢雄ホルスタイン,***死亡牛

 関連情報
 
国内22例目の狂牛病確認 2000年生まれのケースが5頭に,06.1.25

 

 

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