ブラジル、GM大豆栽培・販売を容認する3度目の行政措置

農業情報研究所(WAPIC)

04.10.19

 ルーラ・ダ・シルバ・ブラジル大統領が14日夜、2004-05年季に限って遺伝子組み換え(GM)大豆の栽培と貿易を許す行政指令に署名した。これにより、農民は年末までGM大豆作付を許され、収穫物は06年1月31日まで(60日間の延長が可能)販売できることになった。これは、GM大豆生産を合法化するバイオセーフティー法案の採択が遅れるなか、ブラジル政府が取った3度目の暫定措置である。指令は、政府内で見解が分かれるGM作物の研究・生産・販売の許可に関する詳細なルールには言及していない。ただし、収穫する種子を他の栽培者に売ることはできない。モンサント社は栽培農業者から特許料を徴収することになる。

 ブラジル議会上院は10月6日、GM大豆生産やその他のGM作物の栽培を合法化し、幹細胞研究を含むバイオテクノロジー部門を規制するバイオセーフティー法案を採択した。しかし、これは下院案を修正する条項を含み、改めて下院の承認を得なければ最終的に成立しない。下院の投票は11月までは期待できない。しかし、大豆作付の時期は9月半ばから始まる。多くの農民は、既に栽培に走っている。大統領は9月末、マリナ・シルバ環境相に対し、暫定指令には訴えない、問題は議会に委ねると約束した。シルバ環境相は、GM作物栽培はその環境影響研究がなされた後にのみ許されるべきだという立場を取ってきた。だが、大統領は現実を追認せざるをえないところに追い込まれた。

 ブラジル大豆農場は、既にアルゼンチンからの密輸種子による非合法GM大豆栽培を続けてきた。政府はこの流れを止めることはできなかった。今シーズン、ブラジル大豆の20%がGM大豆になると予想されている。南部諸州では、この比率は90%を超えるだろうと言われる。大統領は、法案の早期採択が期待できない以上、暫定措置に訴える以外、いかなる選択肢もなくなっていた。

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