緊急情報:地球の友
ボリビアへの食糧援助にスターリンク・コーン
02年6月10日
連絡先: Matt Rand, NET, 01 202-887-8800
Larry Bohlen, FoE, 01 202-783-7400 x251
訳 河田昌東
不法な遺伝子組換えコーン、その他のEUで未認可の遺伝子を援助物資に検出
世界食糧サミットのリーダーらは更なる汚染を止めるように要請
ボリビア・コカバンバ;ローマ;ワシントンDC発
ボリビアの市民グループ「環境と開発に関するボリビア・フォーラム(FOBOMADE)」は今日、アメリカの国際開発局(USAID)の食糧援助サンプルから、人間の食用に認可されていないスターリンクが検出された、と発表した。 ニカラグア・地球の友のフンボルト・センターは同時に、スターリンク以外の未認可遺伝子も検出された、と6月10日からローマで開かれている世界食料サミットで発表した。グループは、アメリカでスターリンクが発見されてから1年以上経ってから援助用食糧に見つかったことを激しく非難した。彼らはUSAIDと世界食糧計画を批判し、遺伝子組換え作物をバイオの規制が整っていない国に援助物資として送るべきでない、と要求している。彼らはコーンの生産国を遺伝子汚染から守ることが絶対必要だと強調した。 「アメリカはこの遺伝子組換えコーンが人間の食用には向かないと考えており、前から禁止してきたではないか、にも関わらず、それを食糧援助としてボリビアに送った」とFOBOMADE議長のガブリエル・ハーバスは言っている。
これはスターリンクが食糧援助で見つかった最初のケースで、2000年8月にアメリカで最初に見つかって以来、アメリカ、日本、韓国以外で初めて見つかったものである。全ての検査結果は、アメリカ、アイオワ州の民間検査機関、ジェネチックID社によって確認された。スターリンクは、挿入されたバクテリアの遺伝子がアレルギーの原因になる、としてEPA(環境保護庁)によって人間の食用には認可されなかったものである。この種のアレルギーの影響としては、吐き気やアナフィラキシー・ショックなどがあるが政府や企業の検査が適切でないので良く分っていない。このコーンはもともとアメリカのクラフト・フーヅ社が作ったタコスの皮に『地球の友』と『遺伝子組換えアラート』が見つけたものである。
アメリカ政府は300以上の汚染食品を回収し、200人以上が多分関連する病気だと報告し、EPAは一年後の2,001年7月28日に、スターリンクを人間の食糧にするための安全な基準を設けられない、と結論した。このコーンの生産者アベンテイス社はEPAに対してスターリンクの食品中許容濃度を決めるよう要請したが、拒否された。それ以来同社は何件もの裁判に訴えられ、バイテク部門をバイエル社に売却した。EPAの環境アドバイザーはスターリンクに関する最終レポートで、アメリカ疾病管理センターが行ったスターリンクが人間のアレルゲンであるかどうか決める試験には欠陥があったと結論した。2,001年7月のレポートで彼らは更に試験が必要であり、それまでは何らかのアクションをすべきでない、と勧告した。
地球の友はDNAの確認試験を進め、初期スクリーニング用の検査キットを世界中の組織にアメリカの『遺伝子組換え食品アラート』を通じて配った。
同会は世界中の40以上のグループにこの検査キットを提供し、市民がスターリンクとその他の未認可コーンを表示のないコーンから見つけ出し当局に分別を行わせ、自らを守るよう援助した。 FOBOMADE
の検査用に送られたサンプルには、スターリンク以外にEUで未認可の2種類の組換え遺伝子が含まれていた。モンサント社が開発したラウンドアップ耐性とBtXtra遺伝子である。
グアテマラの市民グループのColectivo Madre Selva も食糧援助として送られた種子サンプルを検査し、EUで未認可の3種類の組換え遺伝子、アベンテイス社のリバテイー・リンク(除草剤耐性)、モンサント社のBtExtra, ラウンドアップ耐性を検出している。
『GMOのないニカラグア・ネットワーク』の一員であるフンボルト・センターは食糧援助のサンプルを同国の色々な所から入手した。あるサンプルはアメリカでもEUでも認可されている組換え遺伝子を3.8%含んでいたし、別の3つのサンプル(コーンと大豆の混合粉)はモンサントのラウンドアップ耐性コーンを含んでいた。 「わが国に食糧援助の仮面をつけて送られた遺伝子組換え食品をニカラグアの子ども達に食べさせるわけにはいかない。アメリカやヨーロッパのベビーフード会社が遺伝子組換え産物を使わないことは良く知られていることだ」とフンボルト・センターのジュリオ・サンチェス氏は言う。
2002年5月24日の記者発表で世界食糧計画は「生産国(供給国)と食糧を受け入れる被援助国の市民が人間の食用にしないものを我々WFP(世界食糧計画)は、配分しない」と宣言している。2000年に当時のアメリカ農務省長官ダン・グリックマンはスターリンクが援助物資に入りこまないよう同省が約束する、と言っている。 「飢餓と旱魃を軽減するために働く一方で、WFPとUSAIDは遺伝子組換え作物が人々の健康と地域農業や環境に脅威をもたらさないようにしなければならない。もし送っているものが食用に適さない遺伝子組換え食品なら世界を救うことは出来ない」とアメリカ地球の友の健康と環境計画デイレクターのラリー・ボーレンはいう。
2,001年9月から2002年6月までの間、世界の草の根グループがサンプルの試験を行う努力をした。2,001年に採られたサンプルには2002年の日付があるが、これは遺伝子組換え援助食糧がまだ食糧倉庫にあるか、あるいはグアテマラやニカラグアの農場で今年の作付けに使われたことを意味する。遺伝子組換え種子の食糧援助は遺伝子組換え作物をコーンの栽培地に持ち込む新たな手法である。それは回収されない生物学的汚染を作り出す。
食糧としてメキシコに輸入されたコーンの種子は最近メキシコの在来種に脅威を与える新たなルートとして最近報告された。