遺伝子組み換え食品に対するアレルギー -政策の問題点

New England Journal of Medicine, 1996314

 

微生物、植物、あるいは動物から食物へ遺伝子を移すということは、このような操作によって意図しない結果が導かれる問題をはらんでいます。アレルギー性もそのうちの一つです。

遺伝子は蛋白質を暗号化したものであり、蛋白質はアレルギー性がある可能性があります。バイオテクノロジー企業は、アレルギー性のある蛋白質をドナーとなる組織から食物に導き入れているかもしれないのです。米国食品医薬品局(FDA)は、遺伝子組み換え植物食品に対する政策を考慮していた1992年の時点でこの問題について予測していました。ジャーナル誌上ではこの問題について、ノードリー氏と彼女の同僚が、食物アレルゲンが一つの植物から別の植物に遺伝子操作によって移ることが可能であることを確認しています。この場合、ブラジル・ナッツから大豆へです。特定の環境中でこの遺伝子操作によるアレルギー性の論証が可能となりました。

パイオニア・ハイブリッド・インターナショナルは、この研究で使用された遺伝子組み換え大豆の開発を、大豆ベースの動物飼料における硫黄含有アミノ酸(メチオニンおよびシステイン)の量を増やす目的で行いました。特定の食品に敏感な人から採取した血清サンプルの貯蔵には限界があります。これらのサンプルがなければ、食物のアレルギー性の論証には説得力がありません。大豆蛋白は牛乳蛋白よりもアレルギー性が少なく、乳児用調合乳、加工肉、加熱食品、あるいは代替乳製品などに使用されます。大豆ベース食品の消費は心臓疾患や癌の危険を減らすのに役立つと考えられますので、(9) 幼児や大人が消費する食品中大豆蛋白の広がりは、確実に増えていくでしょう。人間の栄養の観点から言うと、大豆はそのままですばらしい食品です。

遺伝子組み換え植物食品についての1992年のFDAの政策は、これらの製品を創り出すのに使用された技術によって新しいまたは異常な安全性問題が発生しない、という前提で始まっています。遺伝子組み換え食品に、通常アレルギー性のあるドナーから採り入れられた遺伝子が含まれている場合、FDAは食品添加物の規則によってそれらを管理すべきであると考えて、商品化前の通知、検査、およびラベル添付を要求します。この政策のもと、パイオニア・ハイブリッドは商品化前の安全性検査の必要性についてFDAと相談することが義務付けられ、そうしました。もしこの今の研究結果があれば、この会社はこの遺伝子組み換え大豆にラベル添付しなければならなかったでしょう。遺伝子組み換え食品のラベル添付を行うと複雑な規則の問題が持ちあがる一方、調査ではこれを行うべきであるという人々の強い要求が示されています。この状況が意味しているのは、食物アレルギーについての基礎的および臨床的な調査研究を拡大する必要性がさし迫っているということです。発生状況、広がり、食事との関わり、抗原性、免疫反応、診断、および治療についての詳しい情報があれば、研究者、法規制関係者、およびバイオテクノロジー企業が遺伝子組み換えした蛋白質が害を及ぼすものかどうかを予想するのに助けとなるでしょう。

特殊なケースであった遺伝子組み換え大豆の場合、ドナーの種がアレルギー性があると知らているものであり、そのドナー種に対してアレルギーがある人からの血清サンプルを検査に使用することが可能だったわけで、結局この製品は撤退しました。商品化事前通知およびラベル添付を含む遺伝子組み換え食品に対する規制政策を発展させていくことは、皆が最も関心をもっていることです。遺伝子組み換え食品が安全であると人々が納得すれば企業も利益を得ることになります。

ニューヨーク大学 M.P.H.

マリオン・ネッスル博士

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