ドイツ・バイエル社、アヴェンティス・クロプサイエンスを買収

 

2001年10月2日

訳 道長

 

 ドイツのバイエル社はアヴェンティス・クロプサイエンス社(アヴェンティス76%シェリング24%所有)を、その負債を含めた、72億5千万EUで買収した(19億EUの負債を含む)。

 アヴェンティスのスターリンク事件とそれに関連する負債は今回の取引からは除外され、アヴェンティス社に残ることとなり、バイエル社にはそれに関する負債を負う法的責任はないであろう。

 従業員代表の権利と関連当局の承認については、所有権の法的な譲渡を終えるまでには2002年の上四半期ごろまでかかると予測される。

 アヴェンティス・クロプサイエンスは世界120ヶ国以上で約15,300人の労働者を抱えている。なお、バイエル薬品の農薬事業部の従業員は、およそ8000人。統合後、従業員の約15〜18%、約4000名が削減される見込みである。

 アヴェンティス(本社ストラスブール、フランス)は1999年12月、独ホークストと仏ローン・ポーレクが合併して創立された会社である。

 アヴェンティスの獲得により、50名の死者につながってしまった抗コレステロール薬リポベイ(バイコル)からの撤退(2001年8月)による痛手を蒙っていたバイエル社は、農薬市場ではシンゲンタに次ぐナンバー2の位置に昇ることになる。そして、殺虫剤部門では世界トップ、除草剤ではモンサントとシンゲンタに次ぐ第3位ということになる。バイエルとアヴェンティス両社併せての売上は2001年には、65〜70億EUを記録する見込みで、2005年までには20%の経営マージンと80億EUの売上を実現するものと予測される。

 しかしながら、ドイツのライバル会社BASFのシアナミド社獲得では、期待した相乗作用を達成することができなかったように、バイエルのもくろむコストの軽減も期待できるとは言い切れない。

 BASFは2000年にアメリカン・ホームプロダクツの農薬部門を買収しており、2001年6月にはBMSがデュポンファーマを78億ドルで獲得している。今や作物防除市場は、ますます各社の統合が進行しており、すでに英国アストラゼネカとスイスのノヴァティスは農薬事業の統合により、シンゲンタを創出している。

 バイエルのアヴェンティス獲得は、米国の化学会社、ダウとデュポン社の農薬事業に暗い影を投げかけることになろう。ダウは10億ドルでロームとハースを獲得、消毒剤事業を拡張してきている。

 

 

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