アメリカ農務省(USDA)の狂牛病の情報隠しが発覚

議員が農務省に検査の拡大を要求

 

2004年2月18日

サンディ・ドウトン

シアトルタイムス記者 

抄訳: 山田勝巳

 

三人の証人がワシントンで見つかったBSEの牛は歩行していたと主張し、議会委員会は歩行不能(downer)の牛以外も検査すべきだと発言。

 

農務大臣アン・ベネマン宛の議会委員会の文書は検査対象を大幅に拡大すべきだと提言している。農務省のBSE検査では健康そうに見える牛よりも脳症が発見されやすいということで重症か歩行不能の家畜が検査対象になっている。昨年約20,000頭の牛が検査され、内80%は歩行不能だった。

 

クリスマス直前に発見された感染牛は、歩行不能のもので検査が上手くいっていると農務省スタッフは話していた。だが、モーゼス・レイク屠畜場でこの乳牛を処理した3人によるとこの牛は立って歩いていたといっていう。「大げさに言うつもりはないが、事実だ。」とトーマス・エルスタッドは委員会で宣誓証言した。「この牛は、搾乳場でトレーラーに乗るときも降りて処理場に来た時も歩いていた。」ベルンのモーゼス・レイク食肉の共同経営社エルスタッドは、これまで公に話さなかったのは、農務省が国民の健康と食肉業界を守るためにきちんとした対応をすると信じていたからだという。

 

しかし、エルスタッドは、農務省の対応にがっかりしたと同時に、自分の屠畜場をスケープゴートにしているのが我慢できなかったという。「商売が全く滞ってしまって従業員もほとんど仕事がなくなった。この屠畜上が問題だとしようとしているのは、煙幕を張る為かもしれない。去年は、歩けない牛は断る事にしていた。しかし、輸送途中で怪我をして歩けないのは受け付けていた。農務省の役人はそれを知っていたという。昨年の秋、BSEが発見される前、農務省から、他の屠畜場は嫌だというので彼のところのサンプルをBSE検査に出すように求めてきたという。

BSE陽性が出た直後、農務省はこの屠畜場に対しBSE検査のための脳のサンプル収集をやめるように命令してきたとエルスタッドはいう。

 

問題の牛を屠殺した前従業員ディブ・ローサンは、州議会であの牛は立っていたと証言した。家畜運搬業のランディ・ハルJrも当の牛をヤキマ郡のマブトン・ディリ-から連れてきたとき歩いてトレーラーに乗ったと議会の委員会で証言している。共和党委員会代表のスポークスマンディビッド・マリンは、農務省が国民に間違った事を言ったとすれば信用が失墜すると述べた。

 

現在の検査は、歩行不能の家畜の10%しか検査されていないが、農務省スポークスマン、エド・ロイドはこれを改善するとし、今年度の目標は昨年度の2倍に当たる40,000頭を目標にするという。しかし、1月に検査されたのはわずか1608頭で年間目標を達成するには3000頭/月をこなさなければならない。歩行不能牛はBSE発覚後食品ルートへは禁止された。その結果、歩行不能牛は検査が行われる屠畜場へは回らない事になった。ロイドは農務省の審査官は、ワシントンの牛が歩行不能だったかどうか調査を開始したという。牛が屠殺される前に検査した農務省の獣医の報告書では、この牝牛は最近子牛を産んでおり、歩行していなかったが過敏だったとある。

 

この文書は、バージニアの共和党議員で委員会の議長トム・ディビスとカリフォルニア民主党議員で院内総務のヘンリー・ワックスマンが署名しており3月2日までに回答するよう農務省に求めている。

 

Sandi Doughton: 206-464-2491 or sdoughton@seattletimes.com

 

 

 

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