BBCニュース
2002年12月30日
訳 中田みち
GMレポートは「葬られていない」
イギリス政府は遺伝子組み換え作物の二次汚染を隠蔽しようとしたことを否定。クリスマス・イブに発表された研究により、GM作物が近隣の畑の植物を遺伝子で汚染した証拠が発見された。「これは陰謀というよりは、またしてもの失敗である。」byマイケル・ミーチャー
反GM活動家はこのレポートをとらえて、イギリスにおける遺伝子組み換え食品には未来がないことが証明されたと主張している。イギリス環境大臣マイケル・ミーチャーは、BBCラジオ4の番組「Today」で、そのレポートがクリスマス・イブに発表されることを知らなかったと語った。
(そのレポートの要約は、環境食糧農林省のウェブサイト:Department of the environment, food and Rural Affairs=Defraに掲載された)
「私達はそれを葬ろうと思ったわけではない」と彼は言う。「ただ、クリスマス・イブというタイミングが不運だったんだよ。」「隠そうという意図がなかったことは事実だ。これは陰謀というよりは、またしてもの失敗なんだよ。」
「目新しいことじゃない」
研究によると、雑草である野生のカブの一種は、GM菜種が隣に植えられるとGM遺伝子の影響を受けることがわかっており、除草剤耐性化するのではないかという懸念を加速させている。この結果を受けて、現行のGM作物の栽培上の隔離用件が見直されるかもしれない。環境グループ「地球の友」は、このレポートがイギリスの地方における「スーパー雑草」の潜在的脅威にスポットを当てていると、警告している。
ミーチャー氏は、1994年に始まり2000年に終了したこの研究から新しい情報が明らかになっていることを否定している。
「実際この情報は、すでに1990年代初頭から知られていたことだ。」と彼は言う。「これらの発見は目新しいことじゃない。すでに明らかになっていることを確認したに過ぎない。」ミーチャー氏によると、二次汚染は完全に防ぐことはできないが、最小限度、許容範囲以下のレベルに抑えることはできるという。
さらなる二次汚染の結果に対する調査は、環境食糧農林省Defraが委託し、独立した調査官が行う「農場規模評価=Farm Scale Evaluation」のなかで行われる。その研究の最終的な発表は2004年はじめに行われる予定である。また政府はGM食品が抱えうるリスクに対する科学的な調査だけではなく、それを作るのにかかるコスト、市民の反応などを知るための大規模な調査にも取り組んでいる。