バイテク業界の自主規制はまやかし
ニューヨークタイムス
02年8月2日
アンドリュー・ポラック
訳 山田勝巳
未承認GM作物が食品に紛れ込むことを懸念するホワイトハウスは、回収によって流通に混乱が生じないよう新たな消費者保護のための安全審査を提案している。
今日発表された官報では、新たな規制は圃場試験が多く花粉交雑や種の混入によって食品に紛れ込むことは避けがたいという前提に立っている。
広報では;試験中の作物は、栽培や人間の消費用としては承認されていないため、低レベルの汚染でも健康問題や食品回収騒ぎになる、とある。
そこでホワイトハウスの科学技術政策室では、FDAやEPAが圃場試験の作物が成長して汚染が起こる前に予備的安全審査をしてしまおうというもの。この評価では、新規に導入された蛋白質が毒性やアレルギー性があるかどうかを見るもので、ここで通ればその後の審査は必要がなくなる。 問題がないとされれば、低レベルの意図しない食品への混入は警戒や回収の原因にはならない。 アメリカの作物や食品を輸入する国でも低レベルの未承認組み換え作物の混入を拒否しないことになる。この提案ではどれくらいの汚染が認められるのかは明示されていない。
今後圃場試験は、事前に農務省の環境影響調査を受けなければならない。 FDAとEPAは健康面を調査するが、作物が商業化間近まで行われない。
バイテク業界団体は、この新たな提案を歓迎しており、「消費者にとってこれまで以上の農作物の安全性が確保される。」と声明を出した。
しかし、GM食品に反対する団体食品安全センターの代表アンドリュー・キンブレルは、方向性はよいとしても、「今頃これだけ」しか進展しないのかという。「将来的に在来作物を汚染する懸念を持つからこその提案だが、現在行われている圃場試験には適用されないので、新規制が発効するまで圃場試験は禁止するよう働きかけたい。」と話す。 また、実験作物が食品に紛れ込んだときの言い訳にしないようにしなければならないとも言う。
この4月にモンサントとアベンティス・クロップサイエンスは、アメリカで未承認のGMキャノーラ種子が一般圃場へ紛れ込んだ可能性があると発表した。
この新法案は、公聴会を経て施行するまでは何ヶ月も掛かる。