バイオ医薬企業プロディジーン社を米政府が救済
ジャスティン・ギリス
ワシントンポスト
2003年3月26日
訳 山田勝巳
3ヶ月前にGMコーンの不法取り扱いに対する見せしめ的厳しい制裁を受けたテキサスの企業と農務省の決着内容は、実は政府による無利子の350万ドル貸付で、実質的にはアメリカ国民が税金で後片付けすることであることが分かった。
今後3年間に亘る50万ドルの利子それに伴う経費が節約できるという支払条件は、ワシントンの支持団体によって政府のファイルから最近見つけ出された書類の中に入っていた。 農務省はこの情報をプロディジーン社との決着を発表したときには一言も触れていなかった。 農務省広報担当アリサ・ハリソンは、国民を欺く意図はなく、「意識的に公表しないようにしたことではなく、単に思いつかなかっただけだ」という。
しかし、この支払条件を最近見つけ出したワシントンにある消費者団体、公益科学センター(the Center
forScience in the Public Interest)のバイテク問題理事グレゴリー・ジャフは、政府が国民に誤解を招いたと考えている。 この団体は、遺伝子工学を原則的に支持しているが、行政の監督が緩すぎると不満を持ってきており、その他の団体も関連する書類のコピーを要求していたが詳しい条件の記載されたものは受け取っていなかった。
「意識的に事実よりも厳しい制裁であるというイメージを植え付けようとしたものだ。 政府は国民に言っていることとは裏腹に陰でこの産業に対し出来る限りのことをしようとしていることを強く示している。」とジャフはいう。
昨秋処分内容を発表した時、政府はプロディジーン社に対し25万ドルの罰金とネブラスカ州オーロラで混入した可能性のある倉庫の大豆全てを弁償をするように求めて、「我々の行政管理がいかに厳しいかをはっきり示すものだと思う。」と、当時、農務省の動植物保健検査サービスのボビー・R・アコード長官は言っていた。
大豆の買い上げ、移送、焼却は最終的に350万ドルになると見込まれた。 ジャフが最近発見した処分内容では、政府がこの処置費用を払っている。 プロディジーン社は支払いを1年間猶予されており、2年間4回の分割払いが認められていて総計375万ドルに対する処置費用と利子は政府に一切払わなくても良いことになっている。
農務省のハリソンによると、政府は長期返済を受け入れざるを得なかった、「会社の財務状況を調べたが、罰金を直ぐに払える状態ではなかった。 会社が破産すれば一銭も入らずに政府が全額払うことになっていた。」という。
交替したプロディジーンの再建を得意とする新社長は、昨年の違反が再発しないように経営を全面的に見直しているという。この民間企業は、財務状況を明らかにすることを求められていないが、現金が少なく再建には新たな財源を探す必要があることを認めている。「駆け出しの企業として、375万ドルは膨大な金額だ。」と話す。
この会社は、昨年、アイオワとネブラスカで政府の実験規制に反して、豚のワクチンを食用コーンで栽培し、ポカホンタス郡で周辺の食用コーンを汚染して155エーカー分を焼却するように命令された。 ネブラスカでは、少量のGMコーンの葉や茎が倉庫一杯の大豆に混入したためこれを処分する命令を受けたが、環境省では払わせている利子を農務省は払わせていない。
ワシントンポストがリーハイ大学経済学助教授ジョセフ・C・ハートマンに、この決定内容を分析してもらったところ、利子その他の費用でプロディジーン社は約50万ドル浮かすことが出来るという。 但し、政府は他からより有利な条件で借り入れができるため納税者の負担は26.4万ドルに収まるだろうという。勿論、これはプロディジーンが最終的に支払いができたときの話で、もし破産すれば納税者負担は375万ドルである。