2004年10月19日

ATTAC北海道の声明

長沼のGM大豆に関して、長沼町とJA長沼に申し入れ

 

長沼のGM作物栽培を憂慮し、即刻の中止を求めます

 

■世界中がGM作物に汚染されつつある今、北海道の大地を汚染から守ることは緊急の課題です。

 

既にカナダやアメリカでは非GM作物を作りたくとも作れず、GM作物を作りたくなかった農家もGMにシフトせざるを得ない状況に追い込まれています。シュマイザー氏の悲劇は氷山の一角に過ぎません。

GM種子会社さえ、GM作物をあまり栽培していない国に移動しています。それは、GMによる種子汚染がひどく、種子用の畑に、他のGM作物が雑草としてどんどん入ってきて、純粋なGM種子が作れなくなっているためです。栽培を禁止されているメキシコでさえ、輸送の際のこぼれ種により、トウモロコシの原種が汚染されています。これは世界の農業にとって、取り返しのつかない打撃です。トウモロコシを多く生産する北海道にとっても、他人ごとではない筈です。また、推進派がしばしば言う「農薬を減らせる」は真っ赤な嘘です。現に米国のGM作物を大規模に栽培している地域では、除草剤の使用量は非GMより1割から3割増えています。勿論すべてラウンドアップです。

GMと非GMは決して共存できません。世界中の事例を見れば、火を見るよりも明らかです。

 

■ラウンドアップ耐性大豆は、食用には不適切です。

 

96年に認可を求め、モンサント社から厚生省に提出されたデータを見れば、それは明らかです。まず、多くの実験に使用したGM大豆は、ラウンドアップ不撒布で栽培されたものです。実際にラウンドアップ耐性大豆をラウンドアップ抜きで栽培するということがあるでしょうか。

成分分析を見ると、確かに加熱前と最終的な加熱後のデータにはさほどの違いはありません。ところがこの「加熱」が問題で、220度25分で処理されているのです。飼料や食品としての利用ではまづあり得ない高温です。

最初の108度30分のデータでは、飼料として使うには不適切な成分が、非GMに対して際立って多く検出され、それゆえ「過熱不十分」とした訳です。その成分とは、トリプシン・インヒビター(消化酵素阻害剤)及びレクチン(整理毒性物質)。

220度25分のデータでも非GMと大きな差異が認められた為、「加熱不十分」とし、更に二度の加熱処理を加えました。延々加熱し続ければ、どんな蛋白質もいつかは変性します。非GMと同等の結果を得るまで、加熱を繰り返したのです。

この結論の部分だけで、「非GMと同等の安全性」などと、どうして判断できるでしょう。しかしこれが、繰り返し行政の主張する「安全性は確認されている」という言葉の根拠なのです。

実際の安全性に対してもさることながら、私たちは、モンサント社とその言い分をまるごと通す行政に深い憤りと不信感を持っています。「国が安全だと言っているから安全だ」などという言い分は、到底許容できるものではありません。

また、原因は不明ですが、98年に英国で、大豆によるアレルギーが大幅に急増したという報告があります。ご存知のように英国は、欧州と呼ばれる地域で唯一GMを積極的に大規模に取り入れた国です。これについてはご参考までに付記するに留めますが、「北海道で大豆のアレルギー急増、原因不明」などという結果は避けたいものです。

 

GMは北海道の農業を破壊します

 

ATTAC北海道は、北海道の農業を支持します。持続可能な明日、もうひとつの北海道を求める私たちは、本当の意味での生産者の権利、そして食料の安全、地産地消を非常に重要視しています。

中国や米国、カナダに対し、国産の農作物は、単純に価格で競争して勝てる筈がありません。そもそも北海道で「大型農業」といっても、米国やカナダとは規模が違います。同じ土俵に引き摺りこまれるのは非常に危険だと、私たちは考えます。

国産大豆の自給率が上がっているのは、ひとえに、「国産大豆であれば非GMだ」「国産大豆は農薬の使用量が少ない」という消費者の信頼によるものです。米国や中国の「非GM」より国産の「非GM」のほうが信頼されているのは当然です。日本のGM表示基準では、5%(EU基準では1%未満)まで汚染されていても「非組換え」と表示でき、外国産の「非GM」は、到底当てにならないものだからです。そこに、国内でもGM作物を作るようになれば、長沼の農業、ひいては北海道の農業、そして国産大豆への信頼は失墜します。既に、ことは大豆だけの問題ではなくなっています。そして道外のひとにとっては長沼も富良野もありません。すべて「北海道農業」とひとくくりに捉えられてしまいます。

推進派の目的は、寧ろ国内をGM汚染することで非GMの力を弱め、国外のGM作物を食料として大量に輸入させることにあります。繰り返します。単純に価格競争になれば、外国産には勝てません。私たちはこれを、北海道農業の重大な危機と捉えています。

今あなた方と私たちは、重大な分岐点に居るのです。

 

ATTAC北海道は、長沼のスローフード宣言に期待します。

 

スローフードの理念とGM技術は、まったく相容れないものです。従来の破壊的で持続不可能な大型農業に背を向け、持続可能な方向を模索し、より安全な農作物、地産地消を目指す運動。農村と都市、生産者と消費者の絆を求める運動。これは正にGM技術に代表される価値観と、真っ向から相反する思想です。全国に先駆けてスローフード宣言を目指す長沼で、このような事件が起こるとは非常に残念なことです。

我々ATTAC北海道は、長沼町がこの事件を転機とされ、真のスローフード宣言に向けて真摯に取り組まれることを期待します。そこに、GM技術の入り込む余地はありません。

 

以上の観点から、ATTAC北海道は以下を要請します

1 GM大豆栽培を即刻中止させること

2 長沼で今後いかなるGM栽培も行わせないこと

3 実態のある、真のスローフード宣言を行うこと

 

これらを出発点とし、スローフード宣言に相応しい町として、生産者と消費者の真の権利を守り、未来ある、持続可能な農業に取り組まれることを求めます。

 

以上

 

 

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