反GMイネ生産者ねっとNo.00003
04.7.12
農業情報研究所(WAPIC)
フランス:高名ワイン生産者・取引業者団体、ワインへのGMO使用禁止を要求
フランス・ドイツ・スペイン・米国の400もの高名ワイン生産者・取引業者で構成する“世界の大地とワイン(Terre et vin du monde)”と呼ばれる団体が7月8日、ワインへの遺伝子組み換え体(GMO)使用の禁止を要求すると発表した。
フランス・ブルゴーニュのワイン生産者で構成される“ブルゴーニュの大地とワイン”は2000年、ブドウとワインに関係するGMOの販売を10年間禁止することを要求した。この団体はその後、他の地域(ボルドー、コート・デュ・ローヌ、ドイツなど)の生産者を加えて“世界の大地とワイン”を結成、GMO販売の最低限10年の禁止などを主張して運動を展開してきた。2001年12月には、フランス原産地呼称研究所(INAO)が、統制原産地呼称(AOC)ワイン・ブランデー生産地域でのGMO禁止に関する政令案を、その全国委員会のほとんど全会一致で承認した。にもかかわらず、農業大臣は、未だにこの政令に署名していない。その上、99年以来、GMブドウの実験を停止してきた国立農学研究所(INRA)は、現在、アルザス・コルマールでの耐病性ブドウの実験を計画しており、農業大臣は来年にもこれを承認することになりそうだ。このようなGMブドウの商用栽培は当分先のことになろうが、実験だけに終わらないことも明らかだ。このような動きに危機感を掻きたてられて今回の発表となった。
フィナンシャル・タイムズ紙によると、“世界の大地とワイン”のスポークスマンのミシェル・ボス氏は、「我々は、世代ごとにワイン生産を変革してきたのだから、反動主義者ではない。しかし、GMOの利用については、その実際の環境影響は恐らく50年以上確認できないし、それがもたらす結果は回復不能だろうから、ハッピーではない」と語る。
“ブルゴーニュの大地とワイン”の2000年の発表は、あらゆる分野の専門家との会合や現在までの研究の蓄積によっても、ブドウ品種の遺伝的多様性の減少、ワインの特性が失われる危険性、環境不同化作用の危険、その他予見できず・回復不能な帰結など、多くの問題が未解決だ注意していた(THE
WINES OF BURGUNDY AND GMOs)。“世界の大地とワイン”も、GMワインの導入はブドウの多様性を減らし、数十年にわたる注意深い世話で進化した各ワインの独特な品質を変えてしまうと主張している。また、GMブドウが近隣のブドウを汚染するリスクもあると言う。このリスクのために、カルフォルニアのメンドシーノワイン地区は最近、GMOを禁止している。彼らはGMOの専門家30人以上と協議、実験が純粋の科学的研究にとどまることはありそうもないと恐れ、今回の発表に踏み切ったという。
フランスワインは、より近代的・工業的な生産方法、攻撃的なマーケッティング戦略を採るオーストリアなどの新興生産国に地位を脅かされている。だが、これら生産者には、だからといって一層「工業的」な生産方法に踏み切るつもりはサラサラなさそうだ。この団体に名を連ねる高名ドメインの一つ、シャトー・スミス・オート・ラフィットの所有者は、「高級ブドウ生産が工業化のリスクに最も敏感なのはノーマルなことだ」と言っている。
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モンサント、スウェーデン企業のGMコーン入りライト・ビール開発を助ける
モンサントがヨーロッパのGM食品市場を抉じ開けるために、スウェーデンのビール醸造会社の新たなライト・ラガービールの開発に資金を供給する。新製品は通常のホップと大麦に加え、少しばかりのGMコーンを使って製造する。醸造企業はバイテク・ビールが生み出す評判から利益を得ることに期待する一方、モンサントは、ヨーロッパの規制当局がゆっくりと大陸をGM食品に開放したように、消費者を優しく揺り動かすことができると期待しているという。