アメリカ農民がGM小麦阻止の決意表明

 

グランド・フォークス・ヘラルド(ノースダコタ)

2002年8月19日

ジェリー・W・クラム Agweek記者 

訳 山田勝巳

 

GM小麦導入に公然と反対する3人が、農民はラウンドアップレディ作物の利点ばかりでなく費用をよく考えるべきだと話す。

 

ノースダコタ・エメラードのトッド・リーク、ウェィルズのジャネット・ジェイコブソン、モンペリェのガイル・ワイリィがグランドフォーク郡のダコタ資源委員会に所属する「懸念する市民」の総会でGM小麦のパネル討論会に参加した。3人ともノースダコタ東部で農業をしている。

 

リークによればGM小麦を導入すればアメリカは小麦を輸出することが困難になるという。 バイオセーフティ合意の下では、GM作物の輸入を禁止できる。大口輸入国は既にGM小麦は買わないと明言している。

 

ノースダコタの春小麦の60%は輸出向けであるから結果は経済的破綻を意味する。グランド・フォークスは小麦畑に浮かぶ島で、赤い硬質小麦はノースダコタに定着している。 GM小麦には世界の何処にも売れない。そうなると農民は陸に上がった魚だ。 リークは慣行栽培農家で農薬を多く使う。 GM作物は作っていない。彼の作っている小麦、白インゲン、ひまわり、大豆の品種でノースダコタに適した品種がないことがその理由だが。 彼は2001年のノースダコタ議会でGM小麦販売を禁止する事を提唱した。 禁止にはならなかったが、検討することにはなった。禁止は2003年の会期でもう一度提案されるとリークはいう。

 

農民の権利

GM作物を開発する企業に与えられた特許は農民の権利を脅かす物だとワイリィはいう。技術契約では、農民が種を取って次の年に使うことを禁止している。モンサントが使う契約書の場合、作物によって被る損害は全て農民の負担で企業は一切負う必要がない。ワイリィと夫のトムは、自分達の食品規格大豆がGM混入のため買い取りを断られて以来GM作物反対の活動をしている。 以来ワイリィはGM作物の大規模作付け反対の代表になっている。GM作物反対の農民団体と交流するためヨーロッパやオーストラリアへ出かけている。トム・ワイリィはWTOが開かれたカタールのドーハへも出かけている。

 

ジェイコブソンは、アメリカには有機ナタネは無くなったと話す。 彼女は有機農家の組織である北部平原持続可能農業協会の代表をしている。GM種子の混入が、1%以下と要求されるコーンや大豆の種子も入手が困難になってきている。 これらの作目は有機として作ることも売ることも難しくなってきていると話す。もし、GM小麦が導入されるようになれば、有機の輪作体系が殆ど不可能になる。

 

安全といっているが本当に安全なのか? ジェイコブソンは、GM作物を作る企業が言う安全にも目を付けている。 彼女は農務省もFDAもGM作物が機能的に非GM作物と同等であるので安全評価をしていないという。  GM作物反対者は、感情的で理性的でなく科学的でないと言われている。しかし、唯一行われている安全性研究はモンサントが行ったもので他の研究者が評価できないように秘密にされている。 同じ専門の研究者が評価を許さない科学こそ悪質な科学だというのは常識だとジェイコブソンは言う。

 

 

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