反GMイネ生産者ねっとNo.356
2003年6月3日
農業情報研究所(WAPIC)
米国、APECでGMO自由化を要請
地域・二国間貿易交渉を通じて遺伝子組み換え食品・作物(GMO)を押し付ける米国の戦略がアジアにも及んできた。1日から3日間に及ぶアジア太平洋協力(APEC)貿易閣僚会合がタイのコンケンで開かれているが、「バンコク・ポスト」紙によれば、米国通商代表・ロバート・ゼーリックはこの場を利用、いくつかのメンバー国、特に日本に対してGMO製品にもっと柔軟な政策を取るように要請したが、合意には至らなかった。しかし、閣僚はAPEC高官に対して科学専門家による一層の研究を求めることに合意したという。
また、3日には、タイと米国の間で、将来の二国間自由貿易協定について討議する会合が開かれるが、この会合では知的所有権、関税手続の問題と並んで、GMOの問題が取り上げられる。この場で、米国はタイにGMO製品の自由貿易を許すように求めることになるという。
なお、タイでは最初のバイオテクノロジー・マスタープラン策定のための3日間の検討会議が開かれており、外国での研究の経験をもつDNA技術研究所のディレクターが、科学者が実験で常に細心の注意を払うことを保証するのは難しいと述べるなど、議論は錯綜している。彼は、化学物質が実験所の外の微生物を変えるかどうかも考えずに、研究者がこうした物質をシンクに落としていた外国の研究所での経験を話したという。