アトランタジャーナル&コンスティテューション 

200313

ジェフ・ネスミス

コックスワシントン局ワシントン発

訳 森野 俊子

 

アメリカの大手食品業界 バイオファーム作物の禁止を要望

食用作物は保護が必要  

 

遺伝子操作作物は、食用作物への汚染が全く起こらないという条件がなければ、医薬品やその他の物質を生産するため栽培してはならない、と食品製造業者協会は火曜日発表した。「われわれは許容量ゼロの世界にいる。」と全米加工食品業者協会の執行部副会長であるローナ・アップルバウム氏は断言した。「消費者サイドでその認識は現実的なものである。仮に、食物に混入しない程度までこれらの作物を隔離できないのであれば、使用すべきではない。」

 強力な食品業界による許容量ゼロ政策の主張は、製薬企業、バイオテク会社やその他の会社が、農場で非食用物質を生産するにあたり遺伝子操作技術を用いる上で、どこまで自由が与えられるかについて、利益が複雑にからみあっていることを示した。このことはまたバイオテク会社にとってさらなる後退である。というのは、彼らは、先月(訳注9月)ネブラスカ州で、いまだ同定されていない医薬品を産生するために使った操作遺伝子により、汚染されたとされる50万ブッシェルの大豆が廃棄されてから、守勢に転じてきたからだ。その遺伝子を含むトウモロコシは、テキサス州カレッジステイションのバイオ操作会社プロディジーンにより、アイオワの農家に提供されていた。昨年(訳注2001年)試験作物を狭い圃場で栽培した後、農家はそこに大豆を転作した。しかしトウモロコシの中には今年(訳注2002年)になって芽を出したものがあり、その茎が収穫された大豆の中にたまたま混じってしまった。

 

米国農務省は、検査後に、汚染大豆を廃棄処分にしたが、操作トウモロコシにどんな物質が含まれていたか発表するのを拒否している。ヒトあるいはブタの下痢の治療か、ワクチン用のたんぱく質であった、という複数の報告がある。プロディジーンは、25万ドルの罰金と、大豆の補償に300万ドルほど支払うことに同意した。「医薬品栽培」が安全になされうるかについての公開討論会に、アップルバウム氏たちと出席したバイオテク産業機構の代表は、プロディジーン社は基本的なルールを破った、と言及し、 当産業界は食物を汚染から守るさらなる手段を進んで開発したい、と述べた。

 

BIO(バイオテク産業機構)の役員マイケル・J・フィリップス氏は、医薬品や、産業界で使うプラスチックのような物質を産生するのに、非食用作物のみを使うべきだとする提言に不賛成を表明した。 タバコを除けば、 非食用作物の中で、遺伝子操作物質や医薬品の栽培体として可能であると試験されたものはきわめて少ない、と業界役員は述べた。報告によると、非食用物質を産生するよう遺伝子操作される農作物の中で、トウモロコシはその70%を占めている。フィリップス氏は「科学的見地からみて、トウモロコシはバイオテクノロジーにとって奇跡の作物である。」と述べた。

 

しかし、オハイオ州立大学生物学教授のアリスン・スノウ氏は、商業規模で栽培される遺伝子操作された食用作物から挿入遺伝子の拡散を防ごうとするのは、 実際的なことではない、 と言う。 「医薬品生産作物と食用作物は別にすることを提案する。」「同じ種を両方の目的で使ってはならない。」とスノウ氏は述べた。

 

 

戻るTOP