2005818

Environment  Maine(メイン州の環境)より

翻訳 房谷まひる

 

新たな調査がアメリカの全域で、

何千もの遺伝子組換え作物の屋外圃場実験を明らかにする

http://www.organicconsumers.org/ge/gefieldtests.cfm

 

ポートランド(メイン州南西部の都市)Environment Maine Research & Policy Center(メイン州環境調査及び政策センター)とMaine Organic Farmers and Gardeners Association (MOFGA:メイン州有機農業・園芸者協会)が今日発表した新たな報告によれば、深刻な環境への脅威とそれらの影響を監視するための適切な処置が不充分にもかかわらず、1987年から2004年の間にアメリカ農務省によって47,000件以上の遺伝子組換え(以下GM)作物の屋外圃場実験が認可された。これらの実験のうち375件、主にGMジャガイモがメイン州で実施された。

 

The National Academy of Sciences (国立科学アカデミー)とthe General Accounting Office(会計検査院)の両者は、GM作物の屋外解放の認可における不充分な管理と専門知識に対して、アメリカ農務省をこれまでずっと批判してきた。

 

にもかかわらず、今まで決して公表されなかった多くの新しい作物の実験に加えて、この新しい調査によれば医薬品及び産業化学薬品を生産するために遺伝子操作された作物の実験が2003年から2004年の間に実際に増加したことを示す。

 

この報告(危険性の提起:アメリカにおけるGM作物の屋外圃場実験)は、つまりGM植物の屋外解放に関連して起こり得る危険性を強調する。 数年に渡って実施された大規模な屋外実験の結果は、the Royal Society(英国学士院)の2005年3月号の学会報告で公表されたが、そこでは実験による野生生物への有害な影響を明示している。しかし、実験はアメリカで少しずつ短い期間で行われ続けている。科学者達は、アメリカ国内での研究は、故意にあらゆる不都合を隠すように仕組まれているとして批判している。

 

同時にこの報告は、メイン州の3つの町、Kennebunk、Brookline、KennebunkportがGM生物に対して反対しようと考えている事を受けて、発表されたものである。Kennebunkの行政都市委員は、市民からのGM生物の禁止を求める申し立てを却下したが、Brooklineの市民は、町をGMのない地域であると宣言(GMフリーゾーン宣言)するために屋外実験を実施不可能にする法案に賛成し投票した。Kennebunkportは、Brooklineと同じような法案を考えている。

 

“我々の自然環境は、GM生物の広範囲に及ぶ実験の試験場として使われている。そしてそれは、一度放出されると決して取り消すことの出来ない莫大な危険性と共にある”とEnvironment Maineの代表者マシュ―・デイビスは語った。Btコーン(GMコーンの一種)は、オオカバマダラ(蝶の一種)やその他の攻撃目標でない種に対して有害になる時がある事が発見されている。相応な保護手段が実施されるまで、この野放しの実験は中止するべきだ。

 

メイン州環境調査及び政策センターによる新しい報告の調査結果は、以下のようなものである。

 

2005年1月現在、最も多くの屋外圃場実験を抱えている14の州及び地方は、ハワイ(5,413ヶ所)、イリノイ(5,092ヶ所)、アイオワ(4,659ヶ所)、プエルトリコ(3,483ヶ所)、カリフォルニア(1,964ヶ所)、ネブラスカ(1,960ヶ所)、ペンシルベニア(1,707ヶ所)、ミネソタ(1,701ヶ所)、テキサス(1,494ヶ所)、インディアナ(1,489ヶ所)、アイダホ(1,272ヶ所)、ウィスコンシン(1,246ヶ所)、ジョージア(1,051ヶ所)、そしてミシシッピ(1,008ヶ所)。

 

1991年以来、アメリカ農務省は、医薬品、産業化学薬品又は、その他のいわゆるバイオ薬剤生産用GM作物を418ヶ所の圃場で実験開始を求める240件の要請を受け取った。圃場への解放が要請された薬用作物の実験開始要請の数は2003年の22件から2004年の55件に増加した。

 

去年実施された全ての屋外圃場実験の70%近くが現在“機密ビジネス情報”に分類される秘密の遺伝子を含有している。それは市民が自分達の地域社会で実施されている実験についての情報を知ることが出来ないという事を意味する。

 

 最も多くの屋外圃場への解放で認可された10種類の作物は、コーン、ダイズ、ワタ、ジャガイモ、トマト、コムギ、コヌカグサ、アルファルファ、ビート(カエンサイ)及びコメである。ジャガイモはメイン州の143ヶ所の圃場に解放されている。

 

アメリカ農務省は、いくつかの作物の屋外圃場実験を2003年と2004年に初めて認可した。それらは、アメリカンチェストナッツ(アメリカクリ)、アメリカニレ、アボカド、バナナ、ユーカリ属、マリゴ―ルド、ベニバナ、モロコシ、及びテンサイ等である。

 

これらの実験用のGM作物は、ある遺伝子の組み合わせの成果と、それが及ぼす環境への影響を調査するために囲いのない環境下で育てられる。我々は、GM作物をこのような広範囲に及ぶ方法で屋外実験することは、自然環境、そして近隣の農家に深刻な脅威を引き起こすとして非難した。

 

10年以上の間、MOFGAは、GM植物及び生物のあらゆる屋外実験や屋外放出に先立って、the National

Environment Policy Act(合衆国環境政策条例)に基づいた Environment Impact Statement(環境影響報告書)の作成を要求してきた。“我々は待ち続けている”。MOFGA の公共政策委員会の会長を務めるシャロン・タイシャ―は言った。名高い国立科学アカデミーだけでなく、アメリカ内務省の職員までもが、GM作物及び動物が侵襲性のある有害な種になる危険性について冗談事ではない疑念を提起している。そしてまた、有害作物に遺伝子の汚染をもたらすGM作物は、公認有機農家にとって経済上の脅威である。

 

屋外実験の主な目的はGM生物に関連する危険性、起こり得る生物学的な危険性に関しての情報を得ることである。しかしながら、アメリカ農務省によって収穫されたデータの独自評価は、集められた情報がほとんどない事を示している。結果として、かなりの数の屋外実験が行われているにも関わらず、土壌や攻撃目標でない種への長期的な影響を含む、それらの実験に関する根本的な疑問への解答はないままである。

 

「アメリカの管理システムは、“決して見ない、見つけない”という原則に基づいている証拠が増え続けている」とデイビスは言った。不充分な計画による屋外実験の実施は、何の利益もなしに相当な危険性をもたらしている。

 

メイン州環境調査及び政策センターとMOFGAは以下の事を行わない限り、GM食品に対する連邦政府による一時凍結を求める。

 

* 国から独立した独自の試験によって、安全性を証明する。

    消費者が正しく識別できるように商品化された全ての生産物にラベルを表示する。

    バイオテクノロジーの会社は、生産物によって生じるあらゆる害に対して報告する責任を有する。

 

メイン州環境調査及び政策センターは、きれいな空気、きれいな水、開かれている空間について、問題点を調査し、政策による解決策を提案し、市民に啓発する。

 

MOFGAの使命は、有機食物を栽培する農業従事者(畑作及び野菜栽培者)を援助すること、自然環境を保護すること、天然資源を再生利用すること、地元の食物生産を増加すること、農村の地域社会を支援すること、持続可能な農業経済を推進することである。そしてまた、健全な食物と環境的に安定した農業経営の実践、そして活発な地方経済、これらのつながりを消費者に啓発することである。

 

 

 

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