アフリカで売れなかったGM食品をアメリカが廃棄処分?
ザ・ガーデイアン(UK)
ジョン・バイダル
2002年10月7日
訳 河田昌東
昨日、代表的な二つの環境・開発支援グループが、南アフリカの食糧危機に乗じ、国連を利用して国内で余っているGM食品で利益を得ようとした、とアメリカを非難した。アメリカ政府当局者が、援助物資として贈られたGM食品を拒否するようにそそのかし、人々の命をもてあそんだ、とこれらの団体を批判したことに応じて、グリーンピースとアクションエイドがアメリカ政府の海外援助団体は非組換え食品を援助可能にも関わらず、GM食品だけを提供した、と非難した。
1400万人、6カ国以上の人々が面している危機に対する最大の援助国アメリカは、2億6600万ドルのGMトウモロコシを国連食糧援助計画(UNWFP)を通じて南アフリカに提供した。しかし、EUその他の国の多くが開放市場で食糧を買えるように南アフリカ諸国に対して資金援助したにもかかわらず、アメリカの食糧援助は大幅な助成金をもとにアメリカ国内だけで栽培されているGM食品と連動していた。
グリーンピースは、アメリカ政府とバイテク企業がアメリカ農民のための密かな補助金に食糧援助システムを利用したと、非難した。スイジー、レソト、モザンビーク、ジンバブエは援助物資を受け入れることにしたが、ザンビア、マラウイ、ジンバブエは種子のまま輸入することに抵抗した。彼らは、農民が種子を栽培し環境に影響を与えたり、将来輸出に支障が出ることを恐れた。
昨日、アメリカ国際開発庁長官のアンドリュー・ナチオスはこうした非難を拒絶し、お金でなく食糧を援助することは議会で決まったことだ、と言った。「いかなる国も現金でこの旱魃に対処する手段は他に無いはずだ。南アフリカの食糧危機は人々が市場で食糧を買うことが出来ないほど深刻だ。 食糧は外から入るしかない」と彼は言った。「我々は非GM食糧を提供しようとしたが、彼らが皆断ったのだ。我々は非GMの小麦や米を贈ろうとしたが、彼らはトウモロコシだけを欲しがった。我々は非GMトウモロコシを探したが、企業はどこもGMフリーは保証できない、と言ったのだ」
ナチオス氏はアメリカが食糧危機を利用して利益を得ようとしたことを否定した。「彼ら(批判者)は環境のことは知っているかもしれないが、飢餓の援助のことは何も知らないんだ。飢えた人々は種なんか植えない。彼らはそれを食べてしまう。このグループは数百万人の命を見下げたやり方で危険に陥れた」と彼は言う。
しかし、彼の意見はこの地域における利用可能な食糧に関する最近の国連の数字からは支持されない。この国連の統計によればケニア、タンザニア、ウガンダ、南アフリカでは116万トンの穀物が利用可能である。世界市場ではこの2倍以上が利用可能なことを国連の世界情報・早期警報システムは示している。
「これは、GM食糧を拒否しても飢餓にならないことを示している。国連世界食糧計画に資金援助を与えれば、最も安価な所から穀物を買い危機援助にきちんと対処できる」というのはアクションエイドのアリス・ヴイーン・ウイルソンである。「余剰のある地域に大量の食糧を持ち込めば、一つの国内であるところでは食糧不足、別の地域では余った食糧が腐ってしまうような状況をもたらしかねない」と彼女は言う。
昨日、ザンビアとマラウイの政府は資金があれば彼らは非GM食糧を手に入れるのは容易だ、と言った。ザンビアの政府高官SK・ムブクワヌはロンドンで「我々は南アフリカとその近隣から20万トン入手可能だ。我々に必要なのは後方支援だ。我々は科学者をヨーロッパやアメリカに送り、さらに沢山入手しようとしている。彼らはもうすぐ報告を送ってくる」と語った。