GMイネ生産者ねっとNo.463

2003年11月5日

農業情報研究所

米国食品医薬局(FDA)パネル

クローン動物の安全性に疑義

 

 先日、米国食品医薬局(FDA)がクローン動物の肉や乳は食品として安全で、動物福祉上の問題も特にないとする報告案を発表したと伝えたが、4日開かれたFDAの諮問委員会で異論が続出した。

 

 ワシントン・ポスト紙の情報によると、委員会のメンバー10人のうち8人はクローン動物やその子からの食品は安全だと確信すると表明し、FDAの基本的結論は支持したが、獣医薬諮問委員会の一部メンバーが、クローン動物が蒙る健康上の障害に不安を表明、FDAがこのようなリスクを適切に評価したかどうかについては意見が5対5に分かれて立往生した。一部メンバーは、この問題についての科学的データは非常に少なく、一層の研究が必要だと語ったという。ニューヨーク・タイムズ紙は、FDAのか科学者たちは、発表された研究やクローン・ビジネスにかかわる企業により抹殺された科学的証拠を並べ立てたと報じている。

 

 さらに食品安全性の問題についても、FDAの予備的結論を支持した者も含む何人かのメンバーは、生まれたばかりのクローン産業は、市民がこのような動物を食品として心地良く受け入れるためには、クローン生物学について一層説得力のある科学的業績を生み出す必要があると語った。動物福祉の科学的研究で名高いテキサス工科大学の研究者・ジョン・マックグローンは、「消費者には未知のものに対する恐れがある。科学的見地からこれに立ち向かう唯一の方法は研究をすることだ」と述べた。

 

 ただ、こうした意見を受けてFDAがどう行動するかはわからない。通常は諮問委員会の意見に従うが、これは義務ではない。

 

 

 

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