反GMイネ生産者ねっとNo.442
FOOD
SAFETY NEWS
2003年9月3日
食品科学広報センター
食品科学広報センター(代表:正木英子)は食品に関する情報を科学的な立場から幅広く提供する広報活動を行っています。
◆目次◆
News1 EU 遺伝子組み換え食品の新規制について(2)
Topics トレーサビリティ
News2 食品安全委員会 遺伝子組み換え食品専門調査会の設置を決定
News3 IFIC ダイオキシンと食品の安全性に関するQ&Aをリリース
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News1 EU 遺伝子組み換え食品の新規制について(2)
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欧州の閣僚理事会は7月22日、遺伝子組み換え食品や飼料の表示やトレーサビリティに関する2つの規制案を正式に採択しました。
その概要については前号でお知らせいたしましたが、その詳細についてご紹介いたします。
・トレーサビリティ表示
・食品
・飼料
・意図せざる混入
・未承認の遺伝子組み換え体
・認可手順
・遺伝子組み換え体と非遺伝子組み換え体との共存について
≪トレーサビリティ≫
遺伝子組み換え食品や飼料を使用したり取り扱う事業者には、市場に出るそれぞれの段階で情報を伝え維持するために、トレーサビリティや表示に関する新規制が義務付けられます。
遺伝子組み換え原料の使用に関する情報は、流通や販売の過程を通して伝達され、5年間保存することが義務付けられます。
サンプリングと検査の方法については、新規性の実施の前に、欧州委員会は技術的なガイダンスを開発する予定です。
≪表示≫
遺伝子組み換えに由来するDNA、またはタンパク質が最終製品中に存在するか否かにかかわらず、遺伝子組み換え体から生成されたすべての食品に表示が義務付けられます。また、全ての遺伝子組み換え飼料にも表示が義務付けられます。
≪食品≫
これまでは表示する必要がなかった大豆油やトウモロコシ油のような加工食品や食品添加物も対象となり、「This
product contains genetically modified organisms この製品は、遺伝子組み換え体を含む」や「… produced
from geneticallymodified (name of organism) 遺伝子組み換え(作物名)から製造」と表示することが義務付けられます。
≪飼料≫
遺伝子組み換え飼料に対しても初めて、食品と同様な厳しい表示基準が取り入れられます。例えば、遺伝子組み換え大豆ミールや、原材料に遺伝子組み換え大豆ミールを成分に含むあらゆる配合飼料も対象となります。
≪意図せざる混入≫
意図せざる混入について「遺伝子組み換え体に特有なことではない。食品や飼料、および種子の製造中に、100%純粋な物質を製造することは事実上不可能である。」と述べています。例え他の品種が混ざらないように厳密に管理しても、どうしてもわずかに多品種の混入が起こってしまうことがあります。多品種の混入は、従来の品種であっても避けられないのであるから、遺伝子組み換え体だけに混入を認めないということはできないということです。
そこで、このような意図せざる混入について、一定量までは認めています。現行の法律では、混入率が
1.0%以下であれば、遺伝子組み換えに関する表示は不要としています。新規制では混入の上限を0.9%としています。
≪未承認の遺伝子組み換え体≫
EUで承認はされていないものの、EU推奨の科学的なリスク評価により安全性が確認されている遺伝子組み換え体について、現在は混入が一切認められていません。
そこで、3年間の期限付きで、未承認の遺伝子組み換え体について、混入が技術的に避けがたいと証明できることを条件として、混入の許容値を0.5%としました。
≪認可手順≫
申請された遺伝子組み換え体について、科学的なリスク評価は欧州食品安全局によって行われる予定です。リスク評価の結果を受けて、パブリックコメントを経て、欧州委員会が草案を作成します。この草案は加盟国の過半数の支持により承認され、遺伝子組み換え食品や飼料の公開リストに登録されます。認可の期限は10年間となります。
現行法により安全性認可済みの遺伝子組み換え体については、継続して市場に残すことができます。申請者は新規制法が発効される6ヶ月以内に、検出方法を欧州委員会に提出するよう求められています。共同研究センター(JRC)が設立され、主に検出方法の検証を行います。
≪遺伝子組み換え体と非遺伝子組み換え体との共存について≫
遺伝子組み換え農作物が作付けされるにあたり、「遺伝子組み換え農作物」「有機農産物」「一般農作物」などが共存できるように、適切な管理によって、遺伝子組み換え農作物が非遺伝子組み換え農作物に混入しないようにする必要が指摘されていました。
そこで、EU加盟国に対し、非遺伝子組み換え農作物への遺伝子組み換え農作物の意図せざる混入を避けるための適切な措置を独自に敷くことを認めています。
なお、7月22日のプレスリリースで、欧州委員会が、遺伝子組み換え体と非遺伝子組み換え体との共存のための枠組みに関するガイドラインを作成したと発表されました。
◎参照◎
原文はEUホームページをご参照下さい
遺伝子組み換え体の新規制の成立について
http://europa.eu.int/rapid/start/cgi/guesten.ksh?p_action.gettxt=gt&doc=IP/03/1056|0|RAPID&lg=EN&display=
遺伝子組み換え体と非遺伝子組み換え体との共存に関するガイドラインについて
http://europa.eu.int/rapid/start/cgi/guesten.ksh?p_action.gettxt=gt&doc=IP/03/1096|0|RAPID&lg=EN&display=
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Topics トレーサビリティ
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最近、食の安全と安心について論じられる際に必ず耳にする言葉のひとつに「トレーサビリティ」があります。
食品の安全性に対する消費者の信頼回復のための取り組みのひとつとして脚光を浴びるようになっていますが、トレーサビリティとはどのようなものでしょうか。
トレーサビリティについては、食品の安全性の確保という面と、消費者の安心のための情報提供という側面とが混同されがちですが、生産者や流通、消費者にとって本当に必要なものは何かという点を整理して、その有効性や導入方法を検討していくことが求められています。
⇒詳細は食品科学広報センターホームページをご参照下さい
http://www.fsic.co.jp/news/n030903.htm
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News2 食品安全委員会 遺伝子組み換え食品専門調査会の設置を決定
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第6回食品安全委員会が8月7日に開催され、厚生労働省から左記の4件の遺伝子組み換え食品の安全性について、委員会の意見が求められました。
遺伝子組み換え食品のリスク評価については、6月から7月にかけて開催された第26回CODEX総会(CAC)において、遺伝子組み換え食品に関する国際規格が正式に採択されたところです。
そこで委員から、国内の評価基準について国際ガイドラインと照らし合わせて整合性を確認する必要性が指摘され、遺伝子組み換え食品専門調査会を立ち上げて、これまでの厚労省の安全性評価基準の見直しを行い、食品安全委員会としての評価基準を策定することになりました。今回申請された4件については、その後、リスク評価が行われることになります。
申請者:ダウ・ケミカル日本株式会社
・ ワタ281系統(害虫抵抗性、除草剤耐性)
・ ワタ3006系統(害虫抵抗性、除草剤耐性)
・ ワタ281系統とワタ3006系統を掛け合わせた品種(害虫抵抗性、除草剤耐性)
申請者:デュポン株式会社
・ トウモロコシ1507系統とラウンドアップ・レディー・トウモロコシNK603系統を掛け合わせた品種(害虫抵抗性、除草剤耐性)
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News3 IFIC ダイオキシンと食品の安全性に関するQ&Aをリリース
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7月1日、全米アカデミーにより、食品中のダイオキシン類について、その摂取量低減に向けた食生活改善の方針を示す報告書が発表されました。
また、同日IFIC(International
Food Information Council)により、ダイオキシン類とその安全性についてのQ&Aがリリースされました。
IFICのQ&Aでは、食生活についての具体的なアドバイスが紹介されていますので紹介たします。
Q1.ダイオキシン類とは?
Q2.なぜダイオキシン類に気を付けるべきなのでしょうか?
Q3.人間はどのようにしてダイオキシン類にさらされるのでしょうか?
Q4.ダイオキシン類は食物連鎖にどのように入り込んでくるのでしょうか?
Q5.食品中のダイオキシンレベルを低減するため、政府はどのような取り組みをしていますか?
Q6.ダイオキシン類の摂取を避けるため、食べないほうが良い食品はありますか?
Q7.母乳にダイオキシン類が含まれる恐れがありますが、授乳は安全ですか?
Q8.食品からのダイオキシン類摂取量を最小限に抑えるため、どんなことを心がけ
ればよいですか?
⇒詳細は食品科学広報センターホームページをご参照下さい
http://www.fsic.co.jp/news/n030812.htm
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