反GMイネ生産者ねっとNo.437

2003年8月25日

農民新聞

 

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どうして遺伝子組み換え栽培を進めるのか

国内作付け反対院内集会に100人つめかける

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 全日農、道農連など全国農民組織連絡会議、日本有機農業研究会、ストップ遺伝子組み換え汚染種子ネット、食・農ネット、中部よつ葉会、反GMイネ生産者ねっと、音羽米研究会などの呼びかけで、8月6日、衆議院第二議員会館第一会議室で遺伝子組み換え国内作付け反対院内集会が開催され、全国からおよそ100人の生産者、消費者が結集、厚生労働省、食品安全委員会、農林水産省の担当官と5時間あまりにわたって遺伝子組み換え作物国内作付けをやめるよう交渉を行った。

 

 7月3日の行政交渉で厚生労働省は、組織の再編成で食品安全委員会が担当だとして質問にまったく回答せず、農林水産省も新任課長が農林水産技術会議の立場と取り組みを講習会差ながらに話した経過があるため、この日の交渉は極めて厳しい雰囲気の中で行われた。

 

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農林水産省、厚生労働省を追及

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 要請集会は、茨城県谷和原村でバイオ作物懇話会(代表・長友勝利、宮崎県)が作付けをしていた遺伝子組み換え大豆に対し、作付け大豆の鋤き込みを求め、実施した「遺伝子組み換え作物炒らない!遺伝子組み換え作物いらない!茨城ネットワーク」の冷静で勇気ある行動や、遺伝子組み換えイネの屋外試験に反対する「北海道遺伝子組み換えイネ要らないネットワーク」、岩手遺伝子組み換えイネ監視ネットワーク」の取り組みを背景に、厚生労働省、内閣府食品安全委員会、農林水産省の順にそれぞれ1時間あまりにわたって行われた。

 

 呼びかけ人を代表してストップ遺伝子汚染種子ネットの入沢牧子さんが司会を行い、まず厚生労働省に対し、遺伝子組み換え食品の表示と安全基準を中心に追求した。

 

 中でも、組換え原料が5%以下なら「不使用表示」を認めているのはおかしい、根拠を示せ、ヨーロッパ並みに0.9%以下にすべきだと追求した。

 

 これについて厚生労働省の医薬食品局の担当者は、「科学的根拠というより流通の実態に合わせた」とアメリカの圧力に屈した経緯を暗に明らかにし、「できるだけ低くしたい、昨年12月から2年をめどに農林水産省との二者協議で新たな基準を出したい」とのんびりした回答。

 

 また、「コーデックス(国際食品企画委員会)が7月1日総会で決定した遺伝子組み換え食品安全基準によって、厚生省告示にあった別表1の90項のほとんどが食品安全委員会所管になり、6月30日までとは天と地ほど違う状況になった」と回答したのに対し、6月に厚生労働省が駆け込み認可した遺伝子組み換え品種同士の後代交配種は取り消すべきではないかと反論されると、「当時はコーデックスの安全基準が採択されるかどうか不明だったので従来のシステムで認可するしかなかった」と居直る始末。

 

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内閣府食品安全委員会に聞く

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 ついで行われた食品安全委員会交渉では、同委員会が設立された経緯にかんがみて、厚生労働省(食品衛生調査会)の安全評価のあり方と比べ、予防原則の導入など大幅に改善されるべきであるとともに、厚生労働省交渉で問題になった「後代交配種認可の見直し」など国民の側から提起する場合の手順はどうなっているかが焦点となった。

 

 これに対し、安全委員会として、コーデックスの安全基準に基づいて新たな食品「リスク(危険度)評価基準」を作成すると述べたものの、いつまでに作るのかは明らかにされず、「情報については、適宜収集し、一般の情報も電話やメール、各地における説明会などで寄せてもらい、食品安全委員会の判断でその情報を取り上げるか、検討するかが決められる」との方針を明らかにした。

 

 また、寄せられた情報が取り上げられたかどうかは、安全委員会や専門委員会を公開しているので傍聴してもらえばわかるなどと回答、国民の命を預かり、消費者サイドに立った新しい行政官庁にあるまじき姿勢を露にした。

 

 このため、予防原則に立った国民からの情報や意見などを取り上げてこれを論議するシステムについて早急に検討して回答するよう要請し、引き続き食品安全委員会のあり方を追求することにした。

 

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遺伝子汚染が野放しのモンサントほ場

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 最後に行われた農林水産省交渉では、まず、7月31日の現地視察参加者から、「茨城県河内町にある日本モンサント社の試験ほ場の遺伝子組み換えトウモロコシの花が開き、今にも花粉が接近する一般農家のトウモロコシに伝播する恐れがある、直ちにストップをかけるべきだ」と追求した。

 

 これに対し、齋藤京子技術会議事務局安全課長は、隔離ほ場の設備の承認に当たっては、模擬的環境利用の「施設整備方針」に準拠しており、モンサント河内ほ場については、平成11年に現地調査もして承認しており、同ほ場の利用計画は、最初のイネから綿、そして平成15年にハイリシンデントコーンを承認している、と前置きした上で、ハイリシンデントコーンの試験目的は、花粉の稔性の調査、条件として「近

縁の野生種との交雑を避ける措置をして試験を行う」ことで承認しており、「交雑を避ける措置」として、おしべの雄蕊(ゆうずい)が出穂したら直ちに抜き取ることが条件になっている、と回答した。

 

 これに対し、条件どおりやっているかの確認はどうしているのか、と追及すると、「試験後モンサント社からの報告を出させている」万一被害者が出たらモンサント社が保障する」などと応えるなど国の責任を回避する回答を連発した。

 

 また、「農業環境技術研究所の隔離ほ場は、周囲に防風林があり、内側にとラッピング植物も植えて防虫対策もし、排水施設もかなり厳重で外部へ持ち出さないようになっていたが、モンサントほ場はかなりずさんな環境下で実験している。本当にこんな施設でよいのか?」と問われると、「農業環境研究所は日本で始めての隔離ほ場であり、かなり厳密に設計している」とこちらが例外かの言いよう。「土壌の処理、排水の処理はモンサントほ場ではどのようにしているのか」については、「そのまま鋤きこんでいる」などと回答、現地視察者が心配したモンサント試験ほ場の杜撰な設置・管理が次々と明らかになった。

 

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農水省とバイオ企業の合作の疑い明白に

谷和原GM大豆開花問題を問う

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 8月6日に行われた「遺伝子組み換え国内作付け反対院内集会農水省交渉では、続いて、谷和原町の一般ほ場に植えられた遺伝子組み換え大豆について追求が行われた。

 

 交渉で御地合二郎全日農書記長は、「同ほ場では7月末に周辺のうちに咲く付けされている非組換え大豆への伝播(遺伝子汚染)を懸念する遺伝子組み換え作物いらない!茨城ネットワークワークが、農地所有者の了解の元で鋤きこむに至った」とした上で「所有者運転のタクシーにたまたま乗車した農林水産省の外郭団体STAFF(農林水産先端技術産業振興センター)の職員が、試験利用させてくれと依頼、これ

をバイオ作物懇話会(長友勝利代表)に紹介、農業委員会の承認も得ずに実施したとの経緯について農林水産省は知っていたか」と追及、一瞬の沈黙の後「話は聞いている」と回答した。

 

 3年前から一般ほ場に遺伝子組み換え大豆ラウンドアップレディ(モンサント社の除草剤耐性大豆)を作付けしてきたバイオ作物懇話会は、豊富な資金を持ち、モンサント社との深いつながりが取り沙汰されているグループだ。

 

 消費者の9割が遺伝子組み換え食品に拒否反応を示し、組換え大豆の商品化は極めて難しいとされている中での作付け強行は、もしかすると在来大豆種子の汚染が本当の目的ではないかと心配する人もいる。

 

 農林水産省農林水産技術会議は、このグループの活動を是としており、モンサントや大手食品会社、種苗会社などを会員とし、予算の大半を農林水産省の助成金で賄っている農林水産先端技術産業振興センター(STAFF)が段取りをしてバイオ作物懇話会を実行部隊に仕立てるという遺伝子組み換え推進トライアングルを構成していることは間違いない。

 

 日本農業を守るべき農林水産省が悪名高きモンサント社の手先となって動いていることを生産者も消費者も断じて許してはならない。

 

 谷和原村GM大豆作付けにはこの3者の密接な結びつきが背景にあると見られている。

 

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反GM大豆実力行動のその後

8.3緊急集会報告

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本紙8月15日号で紹介したように、「バイオ作物懇話会」が茨城県谷和原村の一般ほ場で開花した遺伝子組み換え大豆は、花粉の飛散を見るに見かねた「茨城ネットワーク」メンバーによって土中に鋤き込まれた。この後行われた緊急全国集会について、食・農ネットニュースより許可を得て一部転載する。

 

 組換え大豆汚染防止行動については、マスコミに取り上げられましたが、経緯が正しく報道されているとは言えず、また警察の事情聴取が行われる中で、「茨城ネットワーク」は8月3日谷和原での緊急全国集会を呼びかけました。集会には全国から100名近くの人が集まり会場は満席。参加できない組織、個人からは多数の支援メッセージが届けられました。

 

 常総生協の大石光伸さんの経過説明によると、バイオ作物懇話会の長友氏は県やJAに「開花前に刈り取る」と説明していたにもかかわらず、7月23日に「開花前とは言った」と前言を翻し、さらに25日には「枝豆と雑草の二次発生(スーパー雑草の確認)の時期まで検証する」と刈り取りを拒否、だまし討ちのやり口に怒りを感じました。

 

 日本有機農業研究会の魚住道郎さんの基調報告では、「花粉の飛散はGM作物による遺伝子汚染の始まり。国内には各地で会得さんの大豆があり、在来品種はかけがえのない先祖からの贈り物。それらの種子に混入、汚染があればもう取り返すことはできない」「在来の食物が特定多国籍企業によって滅ぼされることに対する、民族として、人間としての誇りを守る闘いである」と茨城特産の納豆小粒大豆や青大豆などを

持参して発言。

 

 続いて、集会の参加者らは「経済発展のためバイオ産業という新事業を立て、技術革新を金科玉条のごとく扱う国策への疑問」や「経済がどうなろうと食べるものさえあれば人間は生きていける。21世紀は利益を奪い合う時代ではない。子孫たちに地球の大切な財産を残すための世紀にしなければならない」と発言がありました。

 

 安田節子からは「在来種氏からは人類の共有財産、公共財であるにもかかわらず、WTOルールでは特定企業の知的所有権という権利のほうを上において私物化を認めている」「モンサント社の狙いは、日本で売れるはずのない組み換え大豆の商品の種子汚染を引き起こすことで、消費者に国産100%大豆の選択権をあきらめさせることではないか」「生命体は自己増殖するので、遺伝子汚染は年数を経るごとに増えて

ゆく」と危機感を表明しました。

 

 集会後、当該畑を見に行きましたが、僅か数10メートル離れた場所に大豆畑があり、たとえネットを被せてミツバチを防いだとしても風が吹けば花粉が運ばれ、交雑の可能性があったこと、当時既に開花後一週間がたっていて相当の花粉が飛散していた状況だったと推測されました。

(食生活ビジョン21主宰 安田節子)

 

 

 

 

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